身体論集成(市川浩著)
市川氏の「身体論」については、個人的にとても好感を持っている。
ある意味では「日本的」な考え方と言う感もあるが、逆にそれだから、私には、しっくりくるのかもしれない。
ある意味では「日本的」な考え方と言う感もあるが、逆にそれだから、私には、しっくりくるのかもしれない。
さて、本書の中では、次のような文章が面白いと思った。
ここには人体をメタファーとして世界を理解する二つの典型的な仕方があらわれている。一方は人体の各部のシュンメトリアを理想化して、中心を持った幾何学的形態をみいだし、その人工的秩序をもって理想都市を作り、その秩序(コスモス)のうちに宇宙(コスモス)をみいだそうとする。他方はより自然的・有機的な人体モデルにかなう地形を自然のうちにみいだし、自然の微地形を重視して都市づくりをする。宇宙(コスモス)は自然的秩序にしたがうことによってみいだされるのである。一方がたとえばグリッドパターンを微地形を無視して刻印するとすれば、他方は微地形(日本の場合主として山や丘などの自然物)を焦点として多焦点の軸をもったグリッドを組み合わせる。これは人体についての把握のちがいであると同時に、自然についてのコスモロジーのちがい - 自然を理性的な幾何学的秩序をもった秩序(コスモス)とみるか、非理性的・非幾何学的秩序をもった玄妙なものとみるかのちがいを反映しているといえよう。