110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

時間論(中島義道著)

 本書はちくま学芸文庫への書き下ろし2002年刊行、以前、中島氏の氏「カントの時間論」を紹介したが、本書もカントの時間論を核として、ベルクソン大森荘蔵の時間論を批判しながら、独自の時間論を展開する。
 この中で展開される「過去中心主義」については、本書を読むと「なるほど」と肯かされる。
 本書の中で展開される「時間」、実際は「今」と「過去」という言葉が中心だが、これは、いわゆる、自然科学などで描かれる(と私的に思い込んでいるだけかもしれないが)、数直線上の時間(軸)とは、異なるという観点から論理が展開される、確かに、本書では触れられていないが、ゼウス(だったかな)の「止まる矢」の話も、時間の連続性と関係があると思われるし・・・
 そんなわけで、自分の時間と自然科学の時間とは、何か違うんだなぁと、いう事に思い当たった人は、読んでみても面白いかもしれない。
 そして、個人的に面白かったのは、身体があるから時間があるという事(行為する主体がなかったとして時間はあるのかどうか・・・?)、これもまた、意外なところで、身体論と結びついている。