野火(大岡昇平著)
本書は新潮文庫版で読む。
武田泰淳氏の「ひかりごけ」をamazonで検索すると、何故か大岡氏の「野火」がペアで出てくる。
何故かと思うと、双方とも、カニバリズムについての記述があるからである。
しかしながら、双方の(小説の)場面設定は微妙に異なる。
そして、本書(「ひかりごけ」もそうだろう)をその得意な状況設定で読み込むという事拒否することを、本書の解説を書いた吉田健一氏は記している。
それは、この小説の世界が特異なのではなく、現在自ずから生活している、この世界が、同じように特異であることを、忘れてはいけないということを指摘しているように思う。
本書を読んで、私は、ハイデッガーなどの実存主義哲学を背景に構成した小説だなどと、たかをくくって(批評しながら)読んでいたが、吉田氏の解説は、その高慢な意識を払拭してくれた。
ただ、頭でっかちと言われようと、戦後のリアリズム系の小説に、そして作家に、もう少しはまって見たいのだ。
ちなみに、この本は一度は読んでみるべき小説のひとつであろうと思う。
(いや、ここに来られる方は既に読まれていることと思う)
武田泰淳氏の「ひかりごけ」をamazonで検索すると、何故か大岡氏の「野火」がペアで出てくる。
何故かと思うと、双方とも、カニバリズムについての記述があるからである。
しかしながら、双方の(小説の)場面設定は微妙に異なる。
そして、本書(「ひかりごけ」もそうだろう)をその得意な状況設定で読み込むという事拒否することを、本書の解説を書いた吉田健一氏は記している。
それは、この小説の世界が特異なのではなく、現在自ずから生活している、この世界が、同じように特異であることを、忘れてはいけないということを指摘しているように思う。
本書を読んで、私は、ハイデッガーなどの実存主義哲学を背景に構成した小説だなどと、たかをくくって(批評しながら)読んでいたが、吉田氏の解説は、その高慢な意識を払拭してくれた。
ただ、頭でっかちと言われようと、戦後のリアリズム系の小説に、そして作家に、もう少しはまって見たいのだ。
ちなみに、この本は一度は読んでみるべき小説のひとつであろうと思う。
(いや、ここに来られる方は既に読まれていることと思う)