110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

毎日の言葉(柳田国男著)

 本書は新潮文庫版で読む。

 日本語は難しい、本書は昭和21年(1946)に刊行されたもの、終戦直後によくもまあ出版できたものだと感嘆してしまう。

 主題の「毎日の言葉」には、日本語をいくつか取り上げて、その意味や成立などの解説とコメントをしていくという趣旨だ(その他に9編、日本語についての小論が収められている)。
 とりあげられたのは、「オ礼ヲスル」「有難ウ」「スミマセン」「モッタイナイ」「イタダキマス」「タベルとクウ」「オイシイとウマイ」「クダサイとオクレ」「モライマス」「イル・イラナイ」「モシモシ」「コソコソ話」「ゴモットモ」「ナルホド」「左様シカラバ」「知ラナイワ」「ヨス・ヨソウ」「ヨマイゴト」「オオコワイとオッカナイ」「ミトモナイ其他」「モヨウを見る」「よいアンバイに」の22語だ。

 当時としては、よく使った言葉なのだろう、そして、その語源や意味を追いかけると、それぞれ深い意味がある。
 それぞれの言葉の意味を忘れて、ひたすら丁寧語の上に、丁寧語を重ねる使い方「おかあさま」など、日本語がどんどん悪くなると鋭く指摘してくるところに、言葉を良く吟味もせずに使っている自分のことを反省してしまう。

 そんな事に気づく本である。