110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

存在の彼方へ(エマニュエル・レヴィナス著)

 本書は、講談社学術文庫版で読む。

 読むとは書いたが、実質は眺めたというのが正解だろう。
 (私にとっては)難しい本なのだ。

 いわゆる、存在論に関しての著者の批判、そして、新たな見解の解説ということであろう。
 それは、存在者からの存在定義ではなく、他者ありきの存在定義であるというところが、特長であると思われる。
 我思うの「我」ではなく、我は、他者に対する責任として存在させられる(誰に?・・・神に)。
 それは、自分の意識とは関係なく、自らを開示し、自らを犠牲とするというものだ。
 
 本書を深く読み込む力量が無い上で、思ったのは、生物の多様性、その重層構造であり、それぞれが、上位のモノに捕食、吸収されながら、その上位のモノも、死を持って循環されるという、生態系システムについてである。
 しかしながら、本書は、あくまで「存在者(≒人間)」の規定なので、生物界についての適用は少し焦点がずれているとも言える。
 
 さてさて、存在すること、存在者とはいかなるものであろう。
 今は、再読する気力が無いが、機会あれば、もう一度読んでしまうかもしれない本ではある。