110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

今こそマルクスを読み返す(廣松渉著)

 本書は1990年初版の講談社現代新書

 表題の「今こそ」は既に20年ほど前になる。
 発刊時点では、現在の日本の状況は考えられないであろう。
 社会主義国家、ソ連は崩壊したが、中国が(資本主義的な要素をとりいれたにしても)台頭して、21世紀の前半は、3本の柱の一角となるであろうこと(米、EU、中国)。
 日本は、1990年から現在の間に、何か足踏みをしてしまったようだ。
 嘗ては活況だった国も、峠を越えて、とりあえずは落ちてゆく状況のように思う。
 
 さて、マルクス経済はその端緒を学生の頃に習ったが、その時は、「マル経は就職に影響するからやってはダメよ」という状況であった・・・ので、食わず嫌いの状況であった。
 そして、相当な時期を経て、見直してみると、マルクスの思想も、その内容を取捨選択することで、生かせる部分はあるのではないかとも思われる。
 本書で行くと第一章「マルクスの開いた新しい世界観」にて、マルクスの思想的な部分に触れているが、このような部分は参考になるところがあった。
 
 現在は、ある意味、大きな転換点であると思う。
 カエサルは、それまでの「共和制」を「君主(皇帝)制」に変えたのだ、一見、政治体制としては逆行しているように見えるが、そのおかげで、ローマ帝国が延命したとも言える。
 そういうことを思うと、既に古くなってしまった思想、ある意味「がらくた」の中に、「何ものか」がみつかるかもしれないのだ(ベンヤミンだなこれは)。