110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ニコマコス倫理学(アリストテレス著)

 本書は岩波文庫版(高田三郎訳)で読む。

 著者の本は初めて読んだことになる、この歳にして。
 以前は、古典であるギリシャ哲学、プラトンアリストテレスなどは、少し伺っては、現代との時代性の差を元に(理性的な理屈ではなく)「古いものは悪いもの」のような偏見で嫌悪していた。
 しかし、これらの著作を読むに当たり、人間の基本的な命題(問題)というものは、それ程進化(深化)していないことに気づいたのだ。

 ギリシャ哲学の代表的な2者、プラトンアリストテレスの古典は、現代でも十分実用になる(本書でも実践的なという言葉が現れるが)著作であるであることは事実だと思う、なにしろ、生涯を掛けてそういう「根本的な命題」についての思索を重ねているのだから(現代の著作を「ひょい」と覗くと、その言葉の重み(思慮)の差は歴然としている)。

 そして、本書で一番惹かれる問題とは、「幸福」とは何なのかである。
 そこには、枝葉の概念として「快楽」や「愛」などの言葉が現れ、その言葉の意味を追求していくのだ。
 ただ直感的に「幸福」という言葉を「(耳あたりの)善い感じ」という捉え方だけではなく、更にその意味を噛み締めてみるみる・・・そういう事に少し面白みを感じるのであった。

 再三繰り返すのだが、(時間さえあれば)これらのことはたかだか210円で成ったのだ。
 これは、幸福なのだろう(か)。