110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

物語批判序説(蓮實重彦著)

 本書は1995年中央公論社刊行のもの、私は1990年初版の中公文庫版で読む。

 このような本も学術系でない文庫で出ていたのですよね、まずはすこし驚きました。

 内容は今更ながらなのですが、物語の虚偽性、ここでは「紋切型」という言葉が頻出しますが、それを指摘していくというもの。
 読んでいて、その切れ味に引き込まれつつ、そういえば、本書もひとつの物語(テキスト)だよなぁ・・・と思うと、最後にロラン・バルトが出てきて「大団円」となる仕儀。

 その手際に、脱帽しながらも、現代のテキストの虚偽性について、いろいろ思わざるを得ないのだ。

 何か、真面目はだめな時代なのかなぁ・・・と少し、寂しくなるのだ。

 本書は一度途中まで読んで投げ出して、再び読み返している、そして何とか読了できるようになった本なのでした。