110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

人間の建設(小林秀雄・岡潔著)

 本書は新潮文庫版で読む、小林、岡両者の対談である。
 しかし、この題名は、堅固な印象を受ける。

 本書を読んだ人は、ある種の偏見を感じるかもしれない、そして、回顧主義を感じるかもしれない。
 しかし、私が本書を読んで感じるのは、現在の日本人という種族が、祖先から継承した遺伝子や生物的なもの以外の何かを、それが文化であったり、言語であったり、感情であったりする流れが、どこかで途切れたのではないかということ、それは、詩的だとか、直感的だとかいう、理屈では表せない不安や警戒なのではないかと思うのだ。
 だから、かつての日本にあって今はないもの、それが、どうしてなくなったのかを良く考えてみるのは、もしかすると、無駄ではないかもしれない。
 それが、人間は建設されるものであるという証左であろう。
 
 そのときに、「やまとごころ」という言葉に行き当たるのだ。