110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

丁稚(花登筐著)

 本書は日本文芸社昭和47年刊行のもの奥付には発行所印をおしてあり古さを強調している。
 花登筐といえば、テレビの脚本を上げる事ができる、子供の頃はなんとなく再放送(細うで繁盛記)もので氏の名前を目にした記憶がある。

 本書も書名からして、大阪商人の物語であり、その商売を題材にした、半分小説、半分処世術のような書といえる。
 内容は古くさいけれども、なかなか奥の深い世界で、現在の効率第一の世の中でも役に立ちそうな内容ではあるのだが、今の世の中では頭で理解しても体では理解できまいと思ったところ、本書の最後に「その丁稚も現代にはいない。誰がどんな方法で、商人を育て、養成していくのか?それは、私にもわからない」と記されてしまっていた。

 細かいことだが、確実に時間は過ぎて、社会は変わるものだ。
 諸行無常ということが今もって真理なのだろう。