110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

分散と集中

河井夫妻の事件についてきちんと内容を見ていなかったのだが、あるTVでの報道を見て、先の参議院選で、地元の現職だった議員と、党中央から推薦された河井杏里議員との間に確執があったことが報道された。

地元の意向と党中央部の意向が決裂した中で、幸いにも、2議席獲得できれば良かったところ、1議席となり、そこを地元としては新参者の河井氏が当選した。

そんなことを知って、ふと思い出したのが、自民党総裁選であった、地方の再活性を中心に説いた石破氏と、内閣主導で当時一見良好に見えたアベノミクスなどを中心に再選を果たした安倍氏との関係だ。

河井氏の事件でも、いわゆる、権力の集中(現行のやり方)が良いのか、分散(地方の自律的な活動を促す)が良いのかは、意見の分かれるところ。

安倍氏は、今も繰り返して「憲法改正」を唱えるのだが、このためには、確かに強力な中央からの統制で票をまとめる必要性はあるだろう、それだけ、条件がクリティカルだからだ。

しかし、そういう姿勢は、各地の現場の意向とずれが生じる可能性があるだろう、端的なのは沖縄県だと思うが、ここに、今回の事件が付け加わった形となった。

そして、その中央集権的なやり方に疑問を持たざるを得ない別の事象が、今回の新型コロナウィルスへの対応であった。

政府としては緊急事態宣言など様々な施策を提唱し実施に及ぶのだが、各地域の自治体はそれに追いつかない、アベノマスクしかり一連の給付金しかり、未だ、未完のまま、次のステップへと、そう、内閣だけが先走りしている状態になってしまった。

内閣…中央の権力は強力だ。

だから、いままでは、まず内閣で目標を定め、時間を掛けてでも、その形に(反対派など含めて)あてはめて行けばそれで良かった。

ところが、権力に適わない事、が出てきた場合、厄介な事になる。

その典型が、コロナウィルスであった。

相当頭の良い人が集まっているはずの内閣で、なんで、あんな変な政策が、振る舞いが起きるのか、理解に苦しむところがあるのだが、それには、今までの権力の力を思いのままに利用してきた驕りがあるのだろう。

コロナ対策で象徴的だったのは、地方のスコアが良いこと、一番悪いのは、一番権力がありそうな東京都であること、権力が集中することで何か重要なものを失っているのかもしれない。

都知事選に絡んで確認してみたら、東京都の人口は1,400万人と、さらに増加傾向にある、人口減少傾向にあるにも関わらずだ。

集中することは、ある程度効率が良い事でもあるだろう、しかし、過度の集中は、その中心が破綻すると取り返しのつかない事態に陥ってしまう。

そのあたりをどう考えるか…難しい問題ではあるが、今後の課題になるだろう。