110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

TVの報道を見ていて思う

世間では「マスゴミ」と呼称して、従来からのメジャーな報道媒体、全国紙や全国ネットのTVを忌避する人が出て来るようになった。

当初、私は、自分で選択できれば良いので、こういう媒体を一概に否定することはしてこなかった。

コロナ禍になり、さらにそういう批判も増えたが、頑なに、古いメディアも尊重してきた。

しかし、もはやそういう考え方を変えなければならない時になってしまったようだ。

だからといって、ネット系の情報に頼ることも、さらに情報品質が低下するだけで、好ましいことではない。

八方塞がりとなってしまった。

その原因は何かと言うと、昨今、酒卸業者に対する政府の対応についての報道をしていたときだ。

あるコメンテーターが、政府は、個々の店を把握して個別対応すれば良い、というような発言をした。

聞いている方は、もし、それが実質的にできるのならば、それが一番良い方法のひとつだと、誰でも思うことだ。

しかしながら、例えば、酒類の卸業者や、その先の飲食店を、個別に、把握するための工数がどの程度必要なのかという、現実的な問題を考えると、例えば、人数を割り当てると、10年掛かるとかいう計算になってしまう可能性が高い。

私は、現在の状態が、前代未聞なものだと思っているのだが、例えば、国民ひとりひとりについて考えれば、ワクチン接種について、様々な思惑があろうが、大した手数ではないと思うかも知れない(ワクチン接種は大したことだと思ってくれればありがたいことだが・・・)、しかし、それが、国民全体1億2500万回の2倍、接種するとなると、大変なプロジェクトになる。

TV報道の構図としては、見ている人に納得させることや、勧善懲悪ドラマ(水戸黄門)のようなわかりやすさで、(今回のケースは)政府が一方的に悪い図式にすることで、楽しめれば良いと思っていることだろう。

しかし、今回の事件は、たしかに政府の対応が悪かったとしても、その根本にある最も重要なこと、すなわち、コロナウィルスの感染対策を、世論を嵩じて、タダでさえ忙しい政府や各省庁の仕事を、いたずらに増やすことは、中長期的に見て(もはや短期的に見て)得策なのかは、本当によく考えなければならないことではなかろうか?

再三記しているのだが、コロナの感染者数を増やしているのは国民であり、政府や官僚がウィルスを意図的にばらまいているわけではない。

また、高齢者の新規感染者数の割合が、人口の割合に対して低いのも、確かに、重症化、死亡リスクが高いということもあるのだが、なにかしら、まん延防止対策や非常事態宣言が行われなくとも、感染抑制できる方法があることを示唆している。

国民や世論が今がどういう状況なのかを的確に判断できていないこと、それを、助長するような報道が目の前で行われたことに、ちょっとショックを覚えた。

まぁ、当面は、ワクチン接種が進むことで、一応、収束に向かっていくのだろうが、コロナ禍で露呈している国民の民度の低くさは、ある意味、バラ色の将来を迎えることになるだろう。