110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

オリンピックが東京都の感染爆発に寄与したという説?

今日、ディサービスの送迎中に、東京都の新規感染者が爆発している話題になり、看護士の方が「オリンピックで感染が増えた」とさらりと行ってのけたのを聞いて、少し、考えるところがあった。

とりあえず、あの爆発はオリンピック前からのもので、数字と感染原因のタイムラグを考えるとそうなるんだよ・・・みたいなことを話した。

彼女が納得したかどうかは不明だが、東京都の数字を改めて追いかけてみよう。

一番、気になる数字は8/5の5042名だろう、この2週間前は、7/22なるほど、開会式の前だが、事前に競技は開始されている。

同様に見ていくと、前週の同じよう曜日からの感染者数の増加が一番大きいのは、7/31の2930名だが、この日の2週間前は7/17日で開催前だ。

実際に、新規感染者数の増加が顕著なのは、私は、月曜日〜日曜日というくくりで集計しているのだが、7/26から8/1の1週間で、この2週間前を見ると、オリンピック開催していない。

マスコミは意図して報道しないのかもしれないのだが、世間がオリンピックのせいで感染拡大したと思っているのならば、少なくとも、東京都は違う。

それ以前から、感染拡大傾向にあり、いわゆる、都民の全部ではないが、感染拡大を十分引き起こすだけの割合の都民が感染対策に不備があったことになる。

すなわち、行政サイドのお願いを聞かなかった人が、ある割合で存在したから感染拡大したのだ。

だから、実は正しい見解を示したのは、政府側で、オリンピックは感染拡大とは余り関係ない。

それは、直接的に、感染者を抑え込んだことだけでなく、間接的にも、東京都はオリンピック開催前から、感染拡大(爆発)局面に移行していたということ。

そして、うかつにも、オリンピックという大きなイベントがあったから、それが原因だと、思い込んでしまった人々、マスコミなどが多いことは、数字を追いかけると見えてくる。

さらに言えば、感染拡大なのにオリンピックを強行する必要性はないのでは・・・という理屈もあるが、これは、再三繰り返しているが、その直前にあった都議選で、そういう考え方が主流だったならば、オリンピック中止を掲げる政党に投票すれば良いのだ、これは、公式に、都民に与えられた意思表明の権利だったが、ご存知の通り、投票率は、たしか、42%程度、そして、オリンピック推進派の自民・公明・都民ファ議席を占めたわけで、たしかに、反対意見もあろうが、積極的に感染拡大して「オリンピックを牽制する本当の意味での大義は無い」のだ、言葉が難しいね、そう、(都議選の結果をきちんと受ければ)都民はオリンピック開催に向けて自粛するべきだったのだ。

変な世論、マスコミに翻弄されたのか、自らの意志なのかはわからないが、緊急事態宣言が発せられていたにもかかわらず、それほど東京都の人流が減らなかったのは、実は、都民が面従腹背したせいであり、その非は咎められても仕方がないことなのだ、公式にね?

どうも、この世の中、公式(おおやけ)というのが成り立っていないような気がするのだが、どうなんだろう?

政治の世界はまさに魑魅魍魎の世界で、何があってもおかしくはないけれども、一般の市民が同じような振る舞いをしているのならば、それは、住みにくい社会が出現すると思うよ。

 

追記:趣旨は同じだがちょっとデータ的に甘い記事があった。

オリンピックで緩んだのではなく、緩んでいたのを、あたかもオリンピックのせいにしたのだ。

これは、悪しき傾向だと思う、ドラマのように、筋道立ててきちんと白黒がつくような事は、現実的には余り起こらないものなのだが、そういうことに、安易な理由をつけて発信してしまう傾向があるように思う。

長い時間を掛けて様々な研究をすればある程度の正解がわかるだろうが、短期間の情報では漏れが出てくる可能性が高い。

オリンピックは確かにとても大きなイベントのように見えるが、実質的には、そのオリンピックの開催という問題をも飲み込んでしまう「コロナ禍」という事件は、とても大きな現象で、それは現在も進行していることになるよね?

コロナ禍は、とても大きな事件なのだと想像できれば、ドラマのように限られた時間で回答が与えられるモノではないことにも気がつくだろう、しかし、そういう「安易な解決」に慣れた人々にとっては耐えられない状況なのだろうね。

そうそう、ドラマには、容易に神の視点が入ってくるのだが、現実的にはそういう事例はあまりないのだ。

さらなる感染者増 東京五輪が醸成した日本人の「お祭りムード」
8/12(木) 8:10配信 オトナンサー
 東京五輪は結局、なし崩し的に開幕し、なし崩し的に閉幕を迎えました。終わってみたら、「やってよかった」といったポジティブな意見が多くなっているというニュースも出ていますが、日本選手のメダルラッシュに沸いた熱気を上回る勢いで、新型コロナウイルスの感染者もうなぎ上りで増えています。

「オリンピックもやってることだし、まあ、いっか」
 デルタ株といわれる変異ウイルスの感染力が強いことの影響もあるかもしれませんが、オリンピックが始まったことによる「お祭りムード」の影響も無視できないように思えます。
 会場はほぼ無観客だし、開催反対の人もたくさんいたので、いつものオリンピックの「お祭りムード」とは少し違いますが、少なくとも、日本国民の多くが外食する、出勤する、実家に帰省するといった、感染リスクが上がる行為をやるべきかやらざるべきか迷ったときに「オリンピックもやってることだし、まあ、いっか」と思ったのは確かではないでしょうか。
「いやいや、そんなことはない、私はオリンピック前と同じように出勤や外出を大幅に減らし、手をしっかりと洗い、換気をし、暑くても片時も不織布マスクを外していない!」という人も少しはいるかもしれませんが、オリンピックの開催をきっかけとして、平均的には日本国民は「気が緩んだ」と考えてよさそうです。
 このことは、携帯電話のGPS機能を利用した人流のデータや公共交通機関、宿泊施設等の予約が増加しているというニュースからも確かだと思われますし、実際に街を歩いていても、昨年に比べて人が多いなあという印象を受けます。
 私たち人間は社会的な生き物ですから、4年に1度、世界の頂点を決めるスポーツの祭典で、しかも、それが夏季は約半世紀ぶりに日本で開かれるとなれば、スポーツに大して興味のない筆者でさえ、周りにつられて、少し浮かれた「お祭りムード」になってしまいます。しかし、それこそが、実はオリンピックをやりたがっていた人たちの「思うつぼ」だったのかもしれません。
 到底不可能だったと思いますが、例えば、われわれ日本国民が東京五輪期間中に誰一人として浮かれることなく、これまで通り、感染予防に最大限気を付けた生活をしていたとします。そこで、東京五輪が始まった途端に感染者が大きく増加した場合、オリンピックの開始前後で社会の変化はないわけですから、「感染者が増えたのはオリンピックをやったせいだ」と、堂々と、オリンピックを強行した人たちを糾弾することができたはずです。
 ところが、私たち日本国民の多くは程度の大小はあるにせよ、「オリンピックもやってるし、まあ、いっか」という具合に行動を変えてしまいました。こうなって来ると、間接的にはオリンピックの「お祭りムード」のせいにできるかもしれませんが、感染者が激増しているのは「別にオリンピックをやったせいではなく、日本の人たちがオリンピックに乗じて、浮かれた行動をとったからでしょ」と言われても反論ができません。
 オリンピックをやりたがっていた人たちがこういうシナリオを意図的に描き、実行に移したのかはよく分かりませんが、少なくとも結果的には、彼らに都合のよいシナリオになってしまったように筆者には見えます。もし、そのシナリオに犠牲が伴わないなら、「まあ、いいんじゃないの? お祭りなんだし」で済む問題ですが、東京五輪閉幕後も衰えを見せない感染者の激増を見ていると、「お祭りムード」に乗じた国民の行動変容に対して、われわれが支払う代償はとても大きくなりそうです。
 いまさらこんなことを言っても、日本全体が今後大変なことになるのは避けられそうになく、国全体としては文字通り「後の祭り」なのかもしれません。しかし、感染していない個人はまだ間に合います。
「思うつぼ」にならないように、私たちの判断がお祭りムードに影響されていることを自覚し、「東京五輪は結局、最後までやったけど自分は惑わされないぞ!」と思って、意識的に7月22日以前、つまり、東京五輪開幕前の感染対策最優先の生活に戻るという選択をすれば、少しは犠牲を小さくできるかもしれません。
名古屋大学未来社会創造機構特任准教授 島崎敢