110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

Z世代は「意識高い」のではなく「問題解決できない大人に絶望してる」だけ?若者世代の本音と企業に期待したいこと

凄く面白い記事だ、この世代が、成長して国の舵取りもしなければならない世代になった時には、どうなるのだろう?

誰が、その成長した大人の彼らの「大人」になれるのだろう、永遠に「大人」を批判して行くわけにもいくまい?

その先には、何も決まらない、世界が現出するのだろうか?

それよりも、勝ち残ったものだけが、生活を謳歌できる、今よりも凄惨な世界が現れるのではなかろうか?

政治の本質について、良く考えてみるとよい、陳情は多様化しているが、その中で選べる選択肢は限られている、自分に合わないからと無視するようでは、政治自体が成立しない。

Z世代は「意識高い」のではなく「問題解決できない大人に絶望してる」だけ?若者世代の本音と企業に期待したいこと
10/29(金) 19:06配信 FINDERS
グローバル広告会社のマッキャン・ワールドグループ ホールディングスは、独自調査レポート「TRUTH ABOUT GENZ IN JAPAN~日本のZ世代の真実~」を発表した。
同調査は日本、中国、韓国、アメリカ、イギリス、ロシア、南アフリカ、ブラジルなど26カ国で実施しているグローバルリサーチの一貫として行われ、日本版では国内13~25歳の若者に対する追加インタビューも実施し作成している。

調査のサマリーでは、
・「急速で」「嘘がなくリアルで」「感覚的に信じられる」ものを求めている
ジェンダーセクシャリティといった社会問題に違和感を覚えている一方、周りからはみ出すことを恐れ自らアクションすることは望まない
・常時接続が当たり前の世代だからこそ、孤独感が増している
など、現代の若者像が描かれており興味深いと感じる一方、メディアによってある種の「理想的なZ世代像」ばかりが喧伝される姿に違和感を覚える読者も少なからずいるのではないだろうか。
今回は同レポート作成およびZ世代へのインタビューにも携わった、マッキャンエリクソンの上坂あゆ美氏に、改めて「Z世代の真実」について話をうかがった。

「他人と違って当たり前」「大人世代に対する疑念・諦観」
―― 今回のレポートでは、日本のZ世代の特徴を「急速」「感覚的」「完璧さより真実を好む」「国や時代を超える」「違うことは当たり前」「繋がりの矛盾」という6つのキーワードで評しています。この中で「まず前提として知っておくべき要素」は何でしょうか?
上坂:私自身、1991年生まれの30歳でZ世代より少し前の世代ではありますが、アンケート結果と若者のインタビューを通じて強く感じた特徴としては「上の世代に対する強い疑念、諦観を持っている」「他人と考えが違うのは当たり前。あなたの価値観を押し付けないでほしい」の2つです。これらは私もかなり共感できます。
―― これら6つのキーワードは、Z世代の何割ぐらいに該当すると思いますか?
上坂:あくまで私個人の感覚的な割合になってしまいますが、「急速」「国や時代を超える」が7~8割ほど、「繋がりの矛盾」「違うことは当たり前」が5~6割ぐらいという感じでしょうか。
そして強調しておきたいのですが、若い世代であればあるほど個人の意識や嗜好は多様化しているので、前提として「Z世代全員に当てはまるような概念はない、それほど多様な世代である」ということをご理解いただきたいと思います。
―― 「急速」の項目では、ショート動画や「0.5手間料理」の流行を紹介し、新型コロナも含む社会課題に「迅速な対応」を求めると説明しています。
上坂:「コスパ」ならぬ「タイムパフォーマンス」の感覚はZ世代の中で最も共有されているのではと感じます。世界に情報やコンテンツが溢れかえっているので、いかに短時間でメリットがあるのかというシビアな目線が非常に強いです。先日話題になった「ファスト映画」も現状では違法ですが確かなニーズがあります。
―― なぜZ世代はそこまでタイムパフォーマンスを求めているのでしょうか?それだけたくさんのコンテンツに触れたいのか、やりたいことが多すぎるのか。何に追われているのでしょうか?
上坂:一番大きいのは、TwitterTikTokなどでのショート動画でわかりやすい、面白いコンテンツが既に大量にあるからだと思います。そして皆さんも自分の中高生時代を思い出していただきたいのですが、結構忙しくなかったですか?
―― 言われてみれば学校に行って部活をやってバイトをやってと、みんなスケジュールがカツカツでしたね。
上坂:朝練がある子もいるし、塾に通っている子もいる。そもそもが皆「多忙なビジネスパーソン」のようなものだと思えば、そういう風になるのかなという気もします。

「Z世代だからみんなリベラルでエシカルなんでしょう」は間違い?
―― その他にも「日本のZ世代論ではあまり言われないけれど、重要なこと」はありますでしょうか?
上坂:ひとつ言えるとすれば「Z世代だからみんなリベラルでエシカルなんでしょう」という認識は一面的でしかない理解だということでしょうか。
これは日本に限らないグローバルな傾向ですが「人それぞれいろんな事情を抱えているし、考え方も違うよね」という考えが共通認識になってきています。だからこそ「普通はそう考えるよね?」と、世の中のマジョリティを前提にした意見を押し付けられることを非常に嫌います。
またZ世代は平等性への関心が高いという調査結果もあります。例えば「Shibuya109 Lab」が15~24歳の男女に行った「SDGs項目の中で日本はどの分野に注力していくべきか」という調査では、一番多かった回答は「ジェンダー平等を実現しよう」でした(全体33.6%、男性22.3%、女性45.0%)。
一方で欧米では注目されている気候変動対策に関しては全体の24.4%しか注目されていません。全国平均で言えばさらに関心度は低いと思います。日本のZ世代でいうと唯一身近に感じられる、一番違和感を覚えやすい問題が、たまたまジェンダーだったというのが現状ではないかと思っています。
今回、当社の調査でZ世代の子たちにインタビューをした際にも「自分の周囲にゲイ、レズビアンバイセクシュアルであると公言している友達が普通にいる」という発言を何度も聞きました。なぜそうした風潮になってきたかといえば、先程申し上げた「みんな違うのは当たり前だから」という考えが浸透しているからではないかと思います。

社会課題に関心はあるが取り組みの遅さに失望
―― なるほど。では先ほどおっしゃっていた「上の世代に対する強い疑念、諦観を持っている」についてはどのような傾向があるのでしょうか。
上坂:日本は他国よりも若者の数が少なく、企業は上の世代向けに商品を作るし政治も同様。自分たちの発信で世界が変わるような経験はほとんどの人がしていないんです。当社が行ったインタビューでも、SDGsに関する質問をした際、以下のようなコメントがあったことが印象的でした。
「関心はあるのだが、日本の社会問題への取り組みの遅さに失望を超えて無関心になってきた。自分が動こうとするとストレスで病みそうになるので、何もやる気が起きなくなってしまう」(男性・17歳)
SDGsという言葉が、メディアであまりにも記号的に消費されることに疲れてしまった。(SDGsに)興味がない人に対しても、『そりゃ興味持たないよね、普通だよね』と思う」(男性・22歳)
この2人は比較的社会問題に興味を持っている層の発言です。上の世代に対する諦観もあるし、自分たちの世代にも成功体験がない。だから他人と違ってもそれが当たり前であり、考えを強要することはしないのだと思います。

「他人と違って当たり前」「大人世代に対する疑念・諦観」
上坂:ここまでの傾向は私自身も共感できることばかりだったのですが、自分は違うかなと思ったのは「SNSで人を傷つけるべきじゃない」という価値観です。調査では「他人を不快にさせないよう気をつけることよりも、自分自身をどのように表現するか自由であることのほうが重要」という質問にイエスと答えたのが日本だと42%だったんですが、これは平均の59%から見ても大きく下回ります。「知人に対する批判を書いたことがある」という質問にイエスと答えたのも5%で、世界平均と比べてこれまた非常に低い結果でした。
またインタビューにおいて「SNSにおける正しい/かっこいい振る舞いとは何だと思いますか?」という質問をしたところ、こんな答えが返ってきました。
「反論しないこと。人の考えは違うものだから、わかり合うことなんて無理なので、批判には反応しないほうが賢いと思う」(女性・17歳)
「ネガティブな投稿を見ると嫌な気持ちになるので、SNSでは見る人の気持ちを考えて、誰も傷つけないよう綺麗な投稿を並べるべきだと思う」(女性・19歳)
これはZ世代が思春期のほとんどをスマホSNSとともに過ごしてきた世代であり、数多くの炎上や誹謗中傷を見てきたことも関係しているかもしれません。

―― 「他人を不快にさせないよう~」の質問に関しては、各国の文化の違いとして「どんな行動・言動が不快とされるか」の水準が違うことも関係していそうですね。日本は比較的高い水準を求められるというか。
上坂:そうだと思います。外国だと、そうした風潮に対して若者たちがノーと言える環境に少しずつなっていると思うのですが、日本は若者の力が弱くて全然そうなっていない。大きな抑圧を感じている世代なのだなと感じました。

Z世代が考える「良い大人」とは?
―― 若者の数が少なく自分たちの意向が尊重されないと感じている一方で、メディアも企業もそれこそこうした記事が成立するぐらいにはZ世代に注目してもいるわけですよね。そのチグハグさが何故生まれてしまうのか気になっています。
上坂:そもそも「Z世代」という言葉を知らない若者の方が多いですからね(笑)。
―― そこも大人からの一方的な期待だという(笑)。
上坂:今回のレポートを解説するセミナーも実施したのですが、我々は広告会社なので普段は企業のマーケティング担当者の参加が多いところ、今回は人事の方も結構参加していました。新卒採用が毎年ある中で、若い子たちがどんな価値観を持っているか知りたい、という意向を持つ方も多かったようです。
―― 近年の30~40代、あるいは一部の50代も入れていいかもしれませんが、「『最近の若者はなってない』的な老害じみた振る舞いは控えよう」という価値観も広がりつつありますよね。とはいえ若者からすれば「完全にわかってくれるわけでもないのに、そういうフリだけされても困る」と思う人も多いでしょうし難しいなと。
上坂:そうですね。そのお話で思い出したんですが、インタビューをしていて「大人世代に対する忌避感が強すぎるから、少しでも『良い大人』がいると大きく株が上がりやすいんだな」と感じました。
―― 具体的にどんな振る舞いが「良い大人」とされるのでしょうか?
上坂:もちろん個々人の嗜好はあるでしょうが、「若者」として画一的に接することなく、かつ「普通」を押し付けてこない、自分の個性に向き合ってくれることをものすごく喜ぶ、という感じでしょうか。
インタビューでまさしく「カッコいいと思う大人っている?」と直球の質問をしたところ、「バイトの研修とかでマニュアルベースの説明をされるんじゃなくて、『君はこういうことが得意なんだ。じゃあこの仕事をやってよ』と言われると信頼できる」という回答がありました。
―― なるほど! Z世代のひとつ前であるミレニアル世代、日本で言うところのゆとり世代は「一人ひとりの個性を見ようとか言ってるからひ弱な若者になるんだ!」みたいな批判を年長世代から散々されていた頃から比べると隔世の感がありますね。
上坂:そうですね。ただ私自身もミレニアル=ゆとり世代なんですが、そこまで罵倒されてきたという実感もないんです。そして「先人の良いところに習おう」という意識も、私の世代ではまだ比較的あったかなと思っています。ですが今のZ世代はビジネスにしろ政治にしろ「世界がどうなるか誰にもわからない」とことさら強調されてきたことも関係しているのかもしれません。

ナウいよりエモい。トレンドに左右されない「良いと思ったもの」を支持したい
―― 6つのキーワードのうち、「感覚的」「国や時代を超える」のお話に移りたいと思います。若者の褒め言葉が優劣(ナウい・イケてる)から感覚的なもの(エモい・ヤバい)に変化しており、SNSの登場によって場所や時代に囚われず好きなものが見つけられるようになった。そして日本では銭湯などの伝統文化、写ルンですやクリームソーダなど数十年前の文化など、トレンドに左右されないものを支持したい気持ちがあるということでした。
上坂:この辺りについて調査をしていて感じたのは、彼らは純粋にビジュアルを見て「いいな」と思っていて、その歴史や情報などをマニアックに掘り下げる子はあまりいなさそうだということでした。純粋にその対象を新鮮に楽しんでいるというか。
―― そのお話で連想したのが、これまではインターネットの普及によって「ググれば何でも情報が出てくるんだから、仲間内でちょっと詳しいぐらいではプライドを持てないし、『自分が掘り下げて見つけたものだという喜び』も失われるだろう」といったことがよく言われていましたが、これだけ情報が氾濫して「みんな知ってるもの」がなくなった昨今は、そうした感覚が再び復活するのかもしれないということでした。
上坂:そうかもしれません。「自分が一番詳しいんだ、最上位だ」ということがアイデンティティにはなりにくいものの、情報が氾濫しているからこそ「同じものが好きだという気持ちを共有できる」ということの価値が高まっているとは言えるかもしれないですね。

嘘のない、本気の姿勢を示す企業に共感集まる
―― 最後に「企業はZ世代に対してどう向き合うべきか」というお話をうかがいたいと思います。御社のアンケート調査で「グローバルブランドは国より変化をもたらす力を持っている」という質問に対してはイエスの回答が52%のロシアを除いてどの国も大半がそうだと答えており、日本も75%に上っています。
課題の関心がないわけではない、でも国や政治には期待できないし、自分が立ち上がるのも病んでしまいそうで怖いし大変、だから企業に期待をかけている、ということなんだと思います。
―― そうした意味においては、企業にチャンスがあるとも言えますね。
上坂:はい。ただ注意が必要なのは、キーワード「完璧さより真実を好む」にもある通り、企業側が本気でそう思っておらず、あるいは具体的なアクションを伴わず「そういうのが今はウケるんでしょう」という態度で臨むと失敗してしまうということです。
―― 「完璧さより真実を好む」は、Z世代が思春期から数々の炎上事例を目撃していることから、背伸びするのではなくリアルな等身大の姿を見たがっていて、それがライブ配信などの「嘘がない姿」の人気につながっているというお話でした。
上坂:ネットやSNSを使って情報を得ようと思えば、世界中の、いつの時代の情報にも触れられるようになっているわけですから、グローバル的な考え方に触れていく子はもっと増えていくと思うんです。
―― 昨今の事例で、「これは成功した」と言える企業の取り組みはどんなものがあるのでしょうか?
上坂:「完璧さよりも真実を好む」「違うことは当たり前」の事例をいくつかお伝えします。

【完璧さよりも真実を好む】
「ドコモのロング学割」Webムービー「高校1000 日間の片想い」
300人以上の高校3年生にアンケートを取り、「女子」篇と「男子」篇の2つのリアルなストーリーとして構築し反響を呼びました。
その他にも「動画よりライブ配信が人気」「恋愛リアリティーショーの流行」「完璧なインスタ画像よりもストーリーズの方が人気」「テレビ番組よりもリアルをむき出しにするYouTuberの人気」も同じ傾向が見られます。

【違うことは当たり前】
True Name by Mastercard
トランスジェンダー、ノンバイナリーの方など、「自身の見た目とは異なる名前のクレジットカードを出すと店員に不審がられる」という問題に対して、あなたの本当の名前=True Nameでカードを作れます、というマスターカードのキャンペーンです。2021年のカンヌライオンズでも受賞をしました。
貝印「#剃るに自由を」
CGを用いたバーチャルヒューマンの人物を起用し、剃刀メーカーとして「体毛処理をどのようにするかは個人が決めていい」というメッセージを打ち出しました。
6人組アイドルグループ「すとぷり」
若い女子に大人気なネットの歌い手や配信者が集まったグループですが、メンバーの一人が性同一性障害FTM:Female to Male)であることを公表しています。それでもファンたちは彼の歌や踊り、生き様を男性アイドルとして応援している。私の姪っ子も大好きなのですが、その姿を見ていて自分も感動してしまいました。

―― いずれの事例も、「当社の商品・サービスを使えばあなたも幸せになれます」ではなく「ユーザーが抱える社会課題の解決に全力で取り組みます」というスタンスで、これが「嘘のない、本気の姿勢」であるということですね。
上坂:そうですね。今回お話しした通り、「Z世代だからみんなリベラルでエシカルなんでしょう」という理解は危ういですが、社会課題に興味関心を持つ子が増えているのも事実です。だからこそ大人や企業が選択肢を提示していかなくてはいけないですし、「若者たちが変えてくれる」ではダメで「ボールはもう大人側にある」ということを認識すべきだと思います。

上坂あゆ美
マッキャンエリクソン
プランニング本部 ほんとプランナー
美術大学グラフィックデザイン専攻を卒業後、 国内PR会社に入社。
2017年、マッキャンエリクソン入社。
社内若手組織「McCANN MILLENNIALS」のコアメンバー。 また、副業で短歌を制作する歌人でもある。
聞き手:神保勇揮・松坂俊(マッキャンマレーシア) 文・構成・写真:神保勇揮