110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

フィロビブロン(リチャード・ド・ベリー著)

 冷静に考えるととても良い題名(書物への愛)だということがわかるのだが、最初、この本を見つけたときには、どういう意味なのかよくわからなかった。
 わからなければ、とりあえず手に取ってみると、思わぬ発見をするという例の様な気がする。
 さて、これは、書物を愛する人の書いた、書物への愛の本だ。
 1989年版の講談社学術文庫版を読んだ。
 
 内容は、14世紀に書かれたものなので、多少宗教的なところが気になるが、内容は確かになるほどと思う。
 書物がなければ、古の知恵も多くが失われてしまうことになる、そして、それは、現実に失われて、現在検証すらできていないものが多数あることも事実だ。

 引用の引用になるが、本書のなかで、オウィディウスの文章を取り上げている。
 人の心はみな富を追い。
 知識の習得には少数、財宝の獲得には多数が向かう。
 知識の女神よ、彼らはおまえをかく売り払い、お前自身よりは、悪銭かせぎのためにおまえを求める。
 金持ちになること、これが彼らの求めるもの。

 知恵の愛は追放の憂き目にあい、金銭欲が代わって支配する。

 金銭欲は学問にとって最も有毒とされている。
 
 現代について考えると、あたっているようで、あたっていないようなところもあるなぁ、と思ってしまう。