110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

こころの哲学(ジェローム・A・シャッファー著)

 本書は培風館から刊行された「哲学の世界」シリーズの12巻目にあたる、刊行は昭和46年(1971)となる。

 このシリーズは、以前より注目していたもので、哲学の基礎的な素養を得るには適当な書籍だと思われる。
 それぞれは小冊なのだが、考えながら読むことになるので、なかなかページ数以上に手ごわいのだ。

 本書では、心と言う観点から哲学を考える、すなわち心身の二元論や、心身合一論など、身体論的なことまで論点に入ってくる。

 そして、本書を読んでいて、遅まきながら初めて気づいたことが、こころ(意志)の自由ということであり、自らが自由に選択を出来るということは、その表出した行動に対する責任があるということになる。
 もし、決定論(自分の意志と関係なく行動が決定している)ならば、自分の行動に責任を持たなくても良いことになる。

 ご存知の通り、その人が、犯罪を行った場合、基本的にその当事者の責任(罪)を問うことになるが、それは、その当人の自由な意志というものが前提にされているのだ。
 自由ということと、それに付随する責任ということが分かったのであった。