110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

嫌韓は高齢者に多い…らしい?

なぜ嫌韓は高齢者に多いのだろうか
5/18(土) 7:00配信 毎日新聞
 あるパーティーで、60代後半だと思われる初対面の男性に自己紹介したところ、「朝鮮半島が専門だというから聞くんだけど」と切り出されました。
 「あー、きたきた」という感じです。男性は「韓国はなんだ、あれ? やっぱりおかしいな」と続けました。議論をする場ではないし、そもそも生産的な話にはならないのですが、単純に同調するわけにもいきません。
 仕方ないので、冷戦終結からの30年間に日韓関係は根本的に変わってきていること、お互いが変化した関係に適応できずにいるため政治的な摩擦が激化していることなどを説明したのですが、あまり納得してはもらえませんでした(冷戦終結後の日韓関係の構造的変化については他社サイトですが、こちらに書いています。http://wedge.ismedia.jp/articles/-/15343)。

◇国民交流の数字は改善基調に
 日韓関係を急速に悪化させた直接の契機は、昨年10月に韓国の最高裁が徴用工訴訟で日本企業に賠償を命じる判決を出したことです。
 その後、韓国軍艦艇による自衛隊機へのレーダー照射問題や韓国国会議長による「天皇陛下が謝罪すれば慰安婦問題は解決する」という発言などが追い打ちをかけました。
 とはいうものの実は、国民交流はむしろ活発になっています。日本を昨年訪れた韓国人は過去最高の753万人、韓国を訪れた日本人も前年比27.6%増の294万人でした。今年第1四半期(1~3月)は訪日韓国人が前年比2.4%減の208万人、訪韓日本人は同26.2%増の62万人でした。
 今までも訪日する韓国人数の増減は政治状況とは無関係だったのですが、日本人の動きは政治状況の影響を受けると解釈されてきました。それだけに今年に入っても訪韓日本人の増加基調が続いているというのは、今までにない現象です。
 これは、どういうことなのでしょうか。訪日韓国人の増加については、日本との歴史問題に対する韓国世論の関心が高くないことがあるのだと思います。日本で持たれているイメージとは違うかもしれませんが、この点については昨年7月のコラム「挺対協は過大評価されていないか」 https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20180727/pol/00m/010/004000d でも書きました。そして日本側については、こうした問題に関心を持つ層と持たない層の分化が進んでいるのかもしれません。鮮明に出ているのが世代による違いです。

◇世代差の激しい韓国への親近感
 日本政府が毎年行っている「外交に関する世論調査」というものがあります。米国や中国、韓国について「親しみを感じるか」などと聞く調査です。昨年末に発表された調査結果では、韓国に親しみを感じるという回答は39.4%でした。2012年の李明博大統領(当時)による島根県竹島上陸を契機とした日韓関係悪化を受けて14年に31.5%まで落ち込んだものが、少しずつ回復しているという状況です。ただ6割を超えていた09~11年とは比べるべくもありません。
 調査結果の詳細なデータを見ていると気がつくことがあります。「韓国に親しみを感じる」という回答が18~29歳では57.4%なのに、70歳以上では28.1%なのです。まさにダブルスコア。他の年代も見ると、30代51%、40代42.3%、50代42.7%、60代31.3%でした。どこで線を引くべきかは難しいところですが、高年齢層の方が韓国に対して厳しいというのは一目瞭然でしょう。
 「嫌韓は高齢者に多い」というのは専門家たちが話題にしていたことなのですが、それを裏付けるような数字です。ヘイトスピーチ対策に取り組んでいる神原元・弁護士は「ヘイトスピーチは若者が憂さばらしでやっているというのは勘違いだ。むしろ、ある程度の社会的地位を持つ50代以上というケースが多い」と指摘しています。直接的なヘイトスピーチというほどではないものの、冒頭に紹介した男性のケースも同じでしょう。

◇「昔の韓国」イメージが嫌韓を生んでいる?
 では、どうしてなのか。これは、なかなか難しいところです。まだまだ検証が必要なのですが、1980年代末から韓国にかかわってきた私の感覚では、「昔の韓国」のイメージが作用しているのではないかと感じています。80年代までの日本で韓国に持たれていたイメージは「軍事政権」というネガティブなものでした。
 それに対して90年代後半以降に成人した世代には、K-POPに代表されるような発展した国という明るいイメージしかありません。90年代末に慶応大の小此木政夫教授から「最近の学生はソウル五輪以降のイメージしか持っていない。我々の時代とは全く感覚が違う」と聞いたことがあるのですが、まさにそうした違いでしょう。
 そして「昔の韓国」は、経済的にも、政治的にも、日本とは比べものにならない小さく、弱い存在でした。それなのに、バブル崩壊後に日本がもたついている間に追いついてきて生意気なことを言うようになった。そうした意識が嫌韓につながっているのではないか。そう考えるのが自然なように思えます。67年生まれの私と同世代だという神原弁護士も、同じような感覚を持っているそうです。

◇定年後の疎外感を解消した「正義感」
 さらに、定年退職した後に感じる社会からの疎外感というものも無視できないのかもしれません。そのことをうかがわせたのが、神原弁護士と一緒に今年4月に記者会見した男性の証言でした。朝鮮学校への補助金支出を批判するブログにあおられて神原弁護士らに対する懲戒請求弁護士会に出したものの、後に反省して謝罪したという男性です。
 この男性は定年退職後に、ネットサーフィンをする中で嫌韓的なブログを読むようになったといいます。男性はブログを書いている人物を「保守右翼の大物」だと感じるようになり、「信者」としてブログの指示通りに懲戒請求などを送り続けました。「自分なりの正義感と、日本のためによいことをしているという一種の高揚感もあった」そうです。当時の心境については、「それまで多かった友人や、仕事の仲間、取引先というものが、65歳をすぎて一切なくなってしまった。社会に参加していない、疎外されているようなところがあった。しかし、(ブログに従う行動を取ることで)自分は社会とつながっているんだという自己承認を新たにしたというような意識が働いて、一線を越えてしまったのではないか」と振り返りました。
 なかなか難しいところです。神原弁護士は「社会から疎外されたという感覚を持ったとしても、嫌韓以外にもはけ口はある。やはり『昔の韓国』のイメージを持っている世代ということが大きいのではないか」と言います。
 私も同感ではあるのですが、一方で、九州選出の自民党国会議員から「現役時代には常識的だった県庁職員が定年退職してから激しい嫌韓発言をするようになって驚いた」という話を聞いてもいます。それ以外にも、さまざまな要因があるのでしょう。もう少し取材を続けてみたいと思います。【毎日新聞外信部長・澤田克己】
 私もBookOffで本を探していたら、同年代くらいの人に「お前、韓国人だろ」みたいなことを言われて、やり過ごしたことがあるのだ。
 しかし、今の状況からして、結構若い人たち嫌韓が多いのかと思っていたが、どうも違うようだ。
 (私的ながら)考えてみると、ほんの10年ほど前までは、嫌中の発言も多かったように思う。
 確かに、20世紀の後半までは、日本の経済力は、中国や韓国を圧倒していたところがある。
 しかし、それは既に過去の事なのだが、その「追いつかれる」もしくは「追い抜かれた」という事実をきちんと受け入れられないことが、「反」とか「嫌」とかいう意識につながっているのかもしれないね。
 20世紀の栄華(皮肉だよ)を誇っていたころの日本製品の品質は、韓国製・中国製を鼻であしらうことができるほど「良かった」ことは、間違いことだよ。
 でも、今は、中国製、そして韓国製のものが無いと、日本人は生活が出来なくなったよね?
 時代は変わるんだよね。
 そして、東アジアでの圧倒的なポジションから陥落した、すなわち相対的に落ち目なわが国は、「ナショナリズム」…国民の意識を高揚させるような発言を政治家(政府?)が(意識的かどうかは不明だが)しているように見えるので、どうしても、そういう過度な優越性がそういう意識(嫌韓など)をもたらしているのかもしれないね。
 過去の栄光にしがみついているってことだね、寂しいことだね。
 ただし、それは現実を直視できないことにつながることなのかもしれないので、この記事が正しいとすれば、若い世代が正しい反応(自然体)をしているのに対して、高齢世代が過去の栄光に引きずられて間違った判断をしている…とも言えるね。

 そして、中国経済の動向が日本経済にも少なからず影響を与えるようになった昨今、嫌中の話は余りでなくなったね。
 不思議なものだね…というか、日本にとってのお客様になったんだろうね中国は?

 ※嫌韓は個人の信念としても、さらに遡ってあの15年戦争の影響について考察しないのはある意味身勝手かもしれないね。