110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

君主論(マキアヴェッリ著)

 誰でも名前の聞いたことのある(と思う)名著です。
 以前、「マキアヴェッリ語録」(塩野七生著)を読んだ後、オリジナルの方に興味が出てきたので読み始めました。
 岩波文庫版を読んだのですが、昔の文庫本に、何故か「しおり」が2枚が入っているのを思い出しました。その時は「なんだろなぁ」と思ったのですが、本文に匹敵するページ数の「訳注」を読むにあたって、該当する各章と訳注のそれぞれに「しおり」をはさんで読み進めることになり「なるほど」と思った次第です。

 やはり、君主としての「資質」と「軍備」に関しての重点が説かれていますが、さらに重ねて民衆の「軽蔑」と「憎悪」を免れる事も示唆しています。
 さしずめ、今ならば、首相の支持率とでも言うものでしょうか?
 さて、当時と比べては、より「経済(当時としては商工業と貿易か)」という要素が強まってきたと思い「君主論」も、現在の見地からは追加を余儀なくされそうに思います。
 しかし、各章の内容はそれぞれ興味深く(26章は?)、今でも役立ちそうな部分も多く見受けられます(それは「マキアヴェッリ語録」の方を読んだ方がお手軽かもしれません)

 君主制でない日本にこの著作の内容を当てはめるのは無理があるでしょうが、例えば、この先の「財政赤字対策」や「年金問題」を「税収」で対応するのならば、国民の「憎悪」の対象になるでしょうし、アメリカの軍備配置の変化(トランスフォーメーション)から、国防(軍備。そして自衛隊)の問題もより大きな問題となるでしょう。
 奇しくも、こういう時期に「愚民」であることが良いのかどうか?
 それも、ある意味「運命」という事でしょうか。