縁の切り方(中川淳一郎著)
本書は小学館新書2014年初版のもの。
表題からは現代風の軽いものかと思ったが内容は実にしっかりしていた。
簡単に他人とつながれる社会だからこその「縁の切り方」について書かれた本だ。
著者は私より一回り年下なのだが物凄い人間関係の修羅場を生きてきた人だ。
本に書いていたことだけで簡単に信じることはできないとも言えるだろうが、私は次の一文で彼を信頼した。
(両親について書かれたところで)「まぁ、要介護になったらなったで仕方ないけど、その時はオレだって面倒見るさ」
これは普通書けない、もし、彼の年代ならば「私は介護なんてしないよ」と書いた方が一般的には受け入れられるのではないかと思う。
しかし、何故そう書かなかったのか、それは、やはり本書を読んでもらうしかなさそうだ。
何かおかしい様に思えてしょうがない今の社会に、小冊ながらもこういう本があることはとても嬉しい。
「蛇足」
例えば、「いじめを減らそう」みたいなお題目は否定できない、正義のお題目だ。
最悪、自殺してしまう子供もいるからだ。
だから、相談者が必要なのだが、そういう人に誰を選べばよいのだろう?
「経験者」・・・そのとおりだと思う。
今ならば、「何人もいじめで自殺者を出してしまった」なんていう人が、もっともその子の兆候をかぎつけるだろうね。
それでなければ、死ぬほど人間関係で苦しんだ人。
生死の境を経験した人(あの戦争とかね)。
「私は優秀でいじめのクラスもいじめの自殺者も出したことがありません」・・・なんていう人は却って不適格なのではなかろうか?