110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

コヘレトの言葉

普段はTVを真面目に見ない私もたまにじっくりと見たいと思う番組がある。

なぜかそれは「NHKこころの時代(宗教・人生)」が多い。

今回も偶々TVを付けたらやっていたのが、放映がはじまった「それでも生きる(旧約聖書「コヘレトの言葉」)」であった。

第一回の放送は導入部分でこれから先どう展開するか・・・は、テキストを思わず買ったので大体見通せると思うのだけれども、実際の番組ではテキストと異なる部分もあるのでちょっと期待している。

放送内容については、例えば、半年前とか1年前くらいから着手するものだと思うけれども、今回の内容は、正に、現在のコロナ禍を予言(預言?)していたかのようなところもあり、今後の展開を期待させてくれる。

そして、キリスト教の立場で解説される本題目は、実は旧約聖書内の文章であり、そういう(新約ではないという)観点からも、異色であり、その展開に注目している部分である。

テキストの冒頭には「空の空 空の空、一切は空である」というコヘレトの言葉からの引用で始まる、何か、般若心経を読んでいるみたいだ。

・・・ということでおしまい、全体の評価は本放送の終了(9月)まで、私が放送にお付き合い出来たら上げることにしよう。

 

さて、以下は、本編の話者、小友聡さんへのささやかな突っ込みである、ただし、氏を貶めるつもりは毛等もない。

先程の「空の空 空の空、一切は空である」は、最近(2018年刊行)の「聖書協会共同訳」のもので、その前、1987年の新共同訳聖書では「なんという空しさ、すべては空しい」と翻訳されており、新しい訳の方がふさわしいと説かれていました。

ところが、更に遡って、手元にある「文語訳聖書(Kindleフリー版でした)」を見るとこの部分「空の空 空の空なる哉 都て(すべて)空なり」とあります。

もしかすると、新しい翻訳にあたって、この古い版を参照された方がいたのかもしれませんね、編集についていろいろ想像してしまいます。

信心深いわけでもない私が、この文語訳聖書などを何故持っていたかというと、今は亡き、山本夏彦が、聖書も現代訳よりも文語訳の方が良いといずれかの本に書いてあったのを覚えていたからでした。

まぁ、懐古主義と言うのも、今に生きる人たちにとっては面白くもない事でしょうが、旧約聖書中の1篇をありがたがって読むなんて言うのは、遡る年月が途方もないわけで、却って、面白いものになるのかなという予感もあります。

 

追記 テキストを読むと、第2回のところで、

・・・「空しい」と訳されたのは、「新共同訳聖書(一九八七年)からです。その前はずっと「空」でした・・・(P38)

と、種明かしされていました。

 

追記2 私は再放送で見ているのですが、5/23に見ようとしたところ過去の再放送でした。

結局、秋以降に延期ということです、丁度この時期に相応しい題目だったので期待していましたので、再開を心待ちにします(テキストが入手できるなら先行で読まれても良いでしょう)。

ちなみに、この枠で再放送されたものは、正眼僧堂師家の山川宗玄さんによる「禅の知恵に学ぶ」です。

昨年、拝見してテキストも買い求めたものですので(テキストをちょっと探したら、行方が知れなかったので無様ですが)、キリスト教の方(他宗教、無宗教の方)にとっては、多少抵抗感があるかもしれませんが、違った観点から「理不尽」に対峙することを考えるには最適な内容かもしれません(やはり、再び見てしまいました)。