110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

仕事もアパートも探せない コロナ禍、スマホ失った人々の悲鳴

コロナとの直接的な関係は薄いんじゃないというコメントが多かった。

私はスマホ持っていないので何とも言えない記事なのだが、この内容で一番気になったことは、スマホがないと生活が出来ない(と思い込んでいる)ということは、スマホのメーカーにその人のすべてを握られてしまう(と思い込んでいる)ということでもある。

そんなことは全くないということは、ちょっと考えるとわかるはずなんだけれどもね?

仕事もアパートも探せない コロナ禍、スマホ失った人々の悲鳴
5/6(木) 9:00配信 毎日新聞
 スマートフォン無しでは新たな仕事を見つけることも、アパートを借りることもできない――。新型コロナウイルスの感染拡大が引き金となって仕事や住まいを失った人たちのこうした訴えが、生活困窮者の支援に取り組む団体に続々と寄せられている。いったい、何が起こっているのか。
 「住居も連絡先も無い。自分は本当にこの世に存在するのだろうかと心細かった」。家賃の滞納がきっかけで、東京都足立区のネットカフェで3年ほど暮らしていた30代前半の女性は振り返る。
 ネットカフェ生活とほぼ時期を同じくして、料金の滞納によりスマホを使って通話できなくなった。Wi-Fi(ワイファイ、無線LAN)が使える場所ならば、無料通信アプリ「LINE(ライン)」を使って友人らと連絡が取れる。でも通話できないスマホは連絡先とならないため、日雇い派遣の仕事を見つけることもできず、働き先はもっぱら日払いの飲食店に。その日暮らしが続いた。
 ここ1年ほどはコロナ禍で飲食店で働くことも難しくなった。今年3月、思い切って生活保護を受けて生活を立て直すことを決心。一般社団法人「つくろい東京ファンド」(東京都中野区)からスマホの貸し出しを受け、ようやくアパート探しに取りかかれることになった。
 「何かにつまずいてスマホが使えなくなるとここまで大変なんだと思い知った。生活を安定させ、このスマホを早く返せるようにしたい」。女性はこう話した。
 豊島区在住の30代男性もスマホが使えなくなってつらい思いをした。派遣会社に登録し、上野にある会社の寮で暮らしていたが、コロナ禍で仕事が減り、昨年10月に寮を出ることとなった。ネットカフェで寝泊まりしていたが、収入が不安定になり貯金はみるみる減った。スマホ電子マネー機能を使ってコンビニでおにぎりなどを買う日々。「代金が膨らんで払えなくなり、スマホ(の利用)を止められた」という。
 男性は派遣の仕事を得ることができなくなり、12月ごろからは路上で夜を過ごさざるを得なくなった。夜は街中を歩き回り、昼に図書館などで寝る生活。年末、食事の提供や生活相談を通して生活困窮者の支援にあたる「年越し支援・コロナ被害相談村」に駆け込み、生活保護を利用して生活を立て直すことになった。
 「スマホを手放してはだめだと身に染みて感じた。いったん止められると、もう生活はどうにもならない」。実感を込めてそう語る。
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 「スマホ代が払えなくなって止まったら、人生詰み(なすすべが無い、の意味)」。つくろい東京ファンドの佐々木大志郎さんによると、スマホの貸し出しを受けた人からはこんな声が聞かれたという。「スマホが無いと仕事を得ることもアパートを借りることも難しくなる。社会生活が営めなくなることに等しい」と指摘する。
 スマホが使えなくなると生活苦に拍車がかかるのはどうしてか。生活保護の利用者に住居を案内することが多いという足立区の不動産業者の男性は「スマホが無いと物件を借りることができないのが実情。契約に保証会社や管理会社が介在し、連絡先を持たない人は拒絶される」と説明。スマホが身分証明書と同様に扱われている実態が浮かぶ。
 「相談村」実行委員会のまとめによると、年末年始に相談に訪れた人たち344人のうち、携帯電話を持っていないまたは使えない状態の人は3分の2近い65%に上った。住居が無い、またはあるかどうかが不明の状態という人も全体の半数に及んだ。
 いったんスマホが使えなくなると、自分の名義で新たなスマホを持つことすら難しくなる、との声もある。小椋修平・足立区議は、生活困窮者の支援に取り組んできた経験から「スマホは(一度止められると)どの社でも新たに契約できないことがほとんど。携帯電話大手は共通のブラックリストがあるのだろうか」といぶかる。
 自治体の福祉事務所は、スマホが使えない状態になった人々に対して一定期間、スマホを貸し出すべきだ――。「相談村」を含む複数の団体は近く、こうした内容の要望書を政府に提出する予定だ。「相談村」実行委員の棗一郎弁護士は「相談活動を通じて、スマホは仕事、住居など命をつなぐツールであることがよく分かった。生活困窮者に無償で貸与すべきだ」と訴える。【東海林智】