110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

小倉昌男経営学(小倉昌男著)

 本書は日経BP社刊行のもの。

 前から、本書は読みたいと思っていた、しかし、業界も違うので興味はあるが読まないという状況であった。
 しかし、最近よく読む、山本夏彦氏の著作の中でも、本書に触れているので、俄然、本書を読む意欲が沸いてきた、そして、本書が刊行されてから大分時間が経っているので、古本で安く手に入るであろうと、方々探して、105円で入手した。
 (こんなに良い本も105円とは、ある意味良い時代だ・・・・いや、寂しい時代かもしれない)

 本書を読んでいて、淡々と、宅急便というビジネスの実現を語る著者の言葉のうちに、どのくらい、苦労したことだろうと、思ってしまった。
 良い面だけを記すことができるということは、それと同等、いや、それ以上の苦労を封印したことなのだろう、そして、それが、経営者の度量を表しているのだろう。

 本書では、あとがきで語る以下の文章に釘付けされた、参考までに本書は1999年に刊行されている。
 あえていわせてもらうと、金融機関のリストラについては、釈然としないものがある。バブル時代の残滓を整理するために、何千億円という特別損失を計上できたということは、本来、非常に儲かっていたということだと思う。預金にはゼロに等しい金利しか払わず、弱い企業への貸付金を強引に引き上げ、最終的には公的資金を受け入れて存続を図った責任は重いものがある。利用者の不満もはかりしれないであろう。
 金融機関の経営者は、リストラをする前に自らの責任を明らかにすべきではないだろうか。
 ・・・・・
 まずやるべきことは、銀行員の給料の引き下げである。世間一般より一割は高い給与ベースだったのではないか。・・・・・

 現在は、どうなのだろうか、世の中が貨幣を媒体として運用されている以上、その状況は変わっているとは思えないのだが・・・・
 もし、企業家のいる銀行が、他に抜きん出る運用成績を収め、預金金利を他社の何倍にもすることができれば、そこに、預貯金はシフトするはずなのだが・・・・その様な気配は無い。