110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ひょうすべの国(笙野頼子著)

 河出書房新社2016年刊行のもの、TPP反対小説ということらしいので読んでみた。

 TPPの危険性については細かく調べると分かってくるのだが、とりあえず、日本は参加ということになる。
 現状、一番良かったのはアメリカが参加を取りやめたことだろうね。
 それにより、本来の効果は期待できないのかもしれないけれども、反面、そのデメリットの威力も幾分薄らいだと言えよう。

 私的な解釈で言うと、国という単位でこの地球上に複数の社会があるのだが、国の中については基本的に問題はないのだが、国同士での調整というのが必要になる場合(戦争とか)、お隣の国の運営がどう見てもひどいので介入したい、だとかいうときに、超国家的な裁定ができる機関があると「いいよね」という形で作られたものがある。
 国連とか、IMFとか、今回のTPPも加盟国に関してはそうなる。

 一見、ほほえましいのだが、逆に振れると大変なことになる。

 国連決議で「悪の枢軸」と認められて、空爆などで国を滅茶苦茶にされたあげく、蓋を開けたら「どこに悪の枢軸があるの?」みたいになってしまう事例。
 経済破綻した国にIMFが施策を押し付けたらさらにひどくなったり、他国に影響が飛び火したりした場合。
 TPPが、IMFと似ているのは、未だ国内の産業が育っていないので保護主義を行おうとしたところ、趣旨が異なるとして強制的に市場開放させられて、実質外資支配下に置かれてしまうという危惧。

 そう、善かれと思ってやっているつもりが、知らないうちに、場合によっては、悪意から、他国の利益のために使われてしまうこと、そして、それが、善意の仮面をかぶって為されることが問題なわけだ。
 そして、TPPの場合、今世紀に更に成長したグローバル企業が、国家を超えて栄入り目的のために侵出してくる可能性があるということだね。
 もしかすると、アメリカもそういうグローバル企業をコントロールできないと判断したのかもしれないね。
 トランプ政権では…ね?

 そういう見方をすると、意外とトランプ氏(政権)は、まともなのかもしれないね。
 彼がビジネスマンであるというその嗅覚のなせる技なのかもしれない。

 ただし、日米に関しては別途アメリカが有利な条件での自由貿易協定を提案してくることは間違いないだろうね。

 昔々は、完全な正義とかはあった(神の下でとか)のだが、20世紀にはそういうものはなく、相対的なものであることが確定した。
 その中存在する超国家的な機関には、それが間違った判断をした時の危険視を十分認識しておかねばならない。
 だから、軽々に「国連主義」とかいう言葉を使う連中には気を付けたがいい。