波多野精一全集
波多野精一全集を読む、これはBookOffにあったもの、全冊揃っていたかも確認せずに購入したもの、状態は良くなく、結構積んだままであったのが、このままではいけないと思い読み始めた。
全部で5冊あったのだが、全集と名前がついているので、冊割れはしているとおもいきや、あるところに全5冊の記載があった、ちなみに第5巻の奥付を見ると昭和24年刊行とある、そして本巻に収録された作品は昭和18年とあった。
すなわち、著者の戦前の作品を集めたものなのだが、そんな古い本を読む意味はあるのかい?という問いに関しては、まぁ、あなたの興味次第だとしか言えない。
全集に共通に流れる思考(思想)は「宗教哲学」なのだが、そう書いただけで興味が失せた人もいることだろうね。
このところ、自分が歳を取ったせいなのか、今の社会がわからなくなった。
資本主義的な金が全てで、自己責任が跋扈する世の中に嫌気がさしてきたことへの、安直な反動として「宗教」という言葉に今まで以上に興味が出てきたようだ。
まぁ、だからと言って、明日、入信、するようなことはないのだがね。
もしかすると、本著者も、戦前の混沌とした状況の中で、いわゆる「真実」を求めて、宗教を柱とした哲学を考えたのかもしれない。
当たり前のことだが、渦中にある人には、現在の様子は分からない。
何か漠然とした不安があるだけなのだ。
そういう時に、何か確実な足場が欲しくなったから、思わず読んだのかもしれないね。
まぁ、徒労に終わればそれに越したことはないのだが、何となく、その戦前の状況(実際、自分は経験してはいないけれども)に、現在は似ているのではないかと勘ぐっているのだ。