生命体の科学(岡田節人著)
本書は人文書院、1994年刊行のもの、近くの図書館で廃棄扱いのものを読む。
著者は生物学の博士、本書が面白いのは、自然科学における哲学の取り組みについてと、日本における科学をその歴史的な観点から論評しているところ。
こんな文章がある。
著者は生物学の博士、本書が面白いのは、自然科学における哲学の取り組みについてと、日本における科学をその歴史的な観点から論評しているところ。
こんな文章がある。
私はこれから、日本において科学の創造への息吹が高揚した時代があったことを、私見として記してみたいと思います。かといって、その時代に日本人社会が、純粋科学に市民権を与えていた、などというのではありません。事実は正反対です。なぜなら私は、一九四〇年を半ばとする前後の約十年を、そうした時代としてみているからです。つまり、この日本の歴史におけるもっとも暗黒で、しかも国家としての日本が、かの愚かなる暴挙を行った時代に、じつは、日本の純粋科学は、ひそかにも、独創的な花を咲かせていたのでした。
細かいところは、岡田氏の著作に譲るとして、面白い視点があるのだと思った、リサイクル書籍もなかなか有用だ・・・と思った次第。