110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

コーヒー・ハウス(小林章夫著)

 本書は、1984駸々堂出版より刊行されたもの、現在は講談社学術文庫版で読める。

 17世紀の英国ロンドン出現した「コーヒー・ハウス」は、政治・経済・文芸・流行・そしてジャーナリズムの一つの拠点であった、それも、どちらかというとアンダーグラウンドな立場であり、なおかつ(意外に)オープンな環境でもあったようだ。
 しかし、それも19世紀には衰退した、この原因はなかなか特定できないようだ。

 そういえば、「コーヒー・ハウス」ならぬ、わが国の「喫茶店」も変遷が激しい。
 私の学生の頃は、インベーダーゲームをゆっくり楽しむためだけに、喫茶店へ行っていたが、それが、いわゆる、会話するための場所へと転じ(純喫茶という言葉もあったなぁ)、それが、なにやら知らないうちに、現在は殆どチェーン店化したところに時間つぶしに行くだけになった。
 少し前に全盛だった「スターバックス」は、最近何か元気が無いし、コーヒー飲みに行くという行為だけなら、そのうちに「マクドナルド」行きになってしまうのでは無かろうか・・・と思ってしまう。
 業態の区分というものは、随分曖昧になって来ているように思う。

 簡単に判断してはいけないことだろうが、「コーヒー・ハウス」も、ある時代にうまく適合したのだろう、それが、全盛期を過ぎて、他の代替品にその地位を譲り渡したのだろう。
 それは、寂しいことでもあるが、まぁ、本質的なことなのだろう。
 そして現在、新聞とかTVとかも、その境界にいるような気がする。
 そんな事を考えた。