110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

<気配>論(上村武男著)

 本書は白地社1986年刊行のもの、著者は大学の教授ではなく、神社の宮司で、幼稚園の理事長とある。

 そして、本書の題名だけでは何の本だか判らないだろうが、副題の「自覚線上における西田幾多郎」を知ると、本書がどの様な目的をもって書かれたかがわかるだろう。
 そして著者本人も、ある種の偏向があると断った上でだが、西田幾多郎論であり、とても良い入門書である。
 西田氏の本、例えば「善の研究」などを読んで、何を言っているのかがわからない・・・私の様な者には最適な本だ。

 上村氏の熱狂的な西田幾多郎氏の諸研究は、数冊の書籍に結実しているのだが、それが、安く、思うようには入手できないのだ難点だ。
 ちなみに、私は、早稲田の古書店で、奇跡的に本書を手にすることができた。

 世の中には、まだまだ良い本があり、良い出版者もあるようだ、ただ、書籍の発行数は多く、良い本を見つけだす可能性、めぐり合う確率も、低くなっているのだ。

 今回は、その行幸に感謝することになったのだ。
 
 ここでいう<気配>とは、西田氏の言う「場所」に近い意味を持たせた上村氏の解釈だ。