110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

冥途・旅順入城式(内田百閒著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 岩波文庫版の本書での特徴は、新漢字、新仮名遣いになっていること、そう、余り旧字体に不慣れな身にとっては有難いことである(が、本来の作品の価値を貶めることにもなるかもしれない)。

 そのようなことはさておいて、本書は短編集である、そして、少し怖い話だ、しかし、凄く怖い話では無い。
 
 何かが起こりそうな前兆はあるが、あからさまな破壊や、残虐な情景はでてこない。
 しかし、その制限の効いた話ぶり(文体)が、良く考えると奥深いものを思いを誘うのだ。
 そう、本当の怖さは、自分の思考によって生み出されるのだ。

 こういう、作品群もあるのだなぁ、と感心してしまったのだ。