110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

断章72

 断章72はかなり長いの文章だが「人間の不釣合」という冒頭の書き出しが全てを物語るのであろう。

 そして、本断章の要約は次の「自然的な認識がわれわれを導いていくところはここまでである。もしそれが真でないならば、人間のうちに真理は存在しない。また、もしそれが真ならば、人間はそこに卑下すべき大きな理由を見いだし、いずれにしても人間はへりくだらねばならない。」ところが怪しい。

 この断章では、人間が宇宙のような巨大なものに対する無限と、逆に、極小のもの、素粒子のようなものに対する無限、それぞれの極から無限に離れていることを様々な例を挙げながら説明し、人間はそういう中間的な時空、不安定な時空に居ることをしめすのだ。

 「不釣合な人間」は無限を知ることはできない、それならば、その無限を知るものの前に膝を折ることも必要ではないか?
 へりくだる対象それは「神」である。

 人間は自分の考え出したものの中に存在し論理を構成できるが(例えば社会とか)それは有限であろう。
 人間のはかりを越えたものは制御することはできない、そのささやかな事例を私たちはあの大地震で経験したばかりだ。