110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

99%とは

 99%除菌というと何か凄く清潔なイメージになるがこれを見方を変えればとんでもない事になる。

 良く知られたところでは、工業製品などで、例えば、ネジの不良率が1%(99%は良品ととらえる)などというと、100本ネジ締めると1本は不良ということになり、これではやっていけませんということになりがちだ、6シグマなどという統計的な言葉を用いて1/1000000程度(場合によってはそれ以上)の不良率で納品していることが多かろう。

 最近、年老いた親の面倒を見たりしているのだが、今日は主治医のところに行って、「母親が昨日時間を間違えて心配だから、転ばぬ先の杖ではないですが、一度物忘れ外来を受信させたいのですが」などということを話した。
 そしたら、一つは、主治医としては、本人との会話も得に問題はなさそうで、まだその段階ではないという見解とともに、医療費削減の折という事を話された。

 ここでふと思ったのは、この予防と実際に病状が顕在化したときのリスクについてだ。
 統計資料など皆無なのでここからはあくまで夢物語だが、
 どうも、高齢者と言うのはこのところ国民の4人にひとり(25%)程度いるらしい。
 計算しやすいように国民が1億人だとすると、2500万人ということになる。
 そこで、先ほどの99%と言う数字だが、例えば、今回の様に「ウチの親が心配だから、事前に診断させたい」という要望に対して「99%大丈夫ですよ」という回答が返ってきた場合。 
 上の数字からすると25万人(1%)は貧乏くじを引く確率があるわけだ。
 この数字は、多いのか、少ないのか?

 この問題の本質は、一つは、今後の医療費など福祉関係の財政費用などという大きな問題提起もあるが、事前予防と事後対応どちらが自分の負担(精神的、肉体的、経済的)が少ないかということだ。

 先ほどのネジの話に戻ると、ある工場で、2本に1本は不良が出るとしよう、しかし、客先納入での不良率は1/1000000にすることは可能だ、全数チェックして良品だけを収めれば良いのだ。
 しかし、そのコストが原価を圧迫して、あまつさえ赤字になるのでは、この工場は破綻するだろう。
 そうではなければ、存続も可能だ(が、本来は不良率を下げれば利益が上がることは明らかなのでそこに取り組むであろう)

 高齢者問題を工業製品と取り混ぜて考えるのは不謹慎かもしれないが、人材不足、コスト高などが要因であるならば、ないものねだりをするよりも現実的な対応が必要だ、例えば、同じ人材で2倍の対応ができる、もっと安い金額で対応ができるということを考えていくことになる(が、無謬性なることを考えるとやっかいだ)。

 私もあと10年程度で高齢者の範疇に仲間入りだ。
 今でも、また来るべきその時にも、高齢者の99%に対応ができているなどという言葉を聞いたら寒気を覚えると思う。