110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ごっこからファンタジーへ(内田伸子著)

 本書は新曜社1986年刊行のもの。

 子供は、かなり小さなころから話の内容を理解したり、話の発端を与えるとそこから物語作る能力を発揮する、しかし、一見そう見えない(稚拙に見える)のは、言葉の使い方が未だ不慣れで思ったことを十分表現できないことによる。
 大人は彼らの能力を伸ばす協力をすることができる、それは彼らが未だ使いこなせていないやり方を教えていけばよいのだ、しかし、手取り足取り教えることは彼らの主体的な成長(自分で考えること)を阻害するするので注意が必要だ。
 なるほど!
 この本には、子供が作った物語の事例が多数掲載されていて、それらが下手な小説よりも面白かったりしてびっくりしたものだ。

 そして、こうも考えた、子供は成長が著しく観察されるが、大人はどうなのか?
 大人にも、やはり、テキストの読み方書き方など成長の余力はあるのではないか?
 自分でも、いくらか本をまとめて読むと以前と違う理解の仕方(ものの見方)げできるようになってきた。
 だから、子供の教育というジャンルではなく大人にも、いや、できると思い込んでいる大人たちが、物を読んだり書いたりすることに慎重であるべきなのかもしれない。

 本書には「子供は本来、独立的で好奇心が強い。積極的に新奇なものを追求し、自分の頭でものを考え出すことができるものである。しかし、先に見たように、大人の不用意な言葉かけや、たとえ善意からだとしても、親切に手を貸しすぎることが、かえって子供が自分の頭をつかって想像の世界をつくり出そうとする機会をつぶしてしまうかもしれないのだ。・・・」とある。

 我田引水ではあるがこれをつぎのように変えたらどうか?
 「人は本来、独立的で好奇心が強い。積極的に新奇なものを追求し、自分の頭でものを考え出すことができるものである。しかし、先に見たように、社会内での不用意な言葉かけや、たとえ善意からだとしても、親切に手を貸しすぎることが、かえってその人が自分の頭をつかって想像の世界をつくり出そうとする機会をつぶしてしまうかもしれないのだ。・・・」
 
 現在は、ちょっとしたことは、PCやスマホで簡単に調べられる、CMでもそういうノウハウが簡単に導き出せるアプリがあるなどと喧伝している、しかし、そこには創造性を阻害する何かが存在するのではないのか?
 昨今の不可解な事象(安保法案、新国立競技場等々)も、創造(想像)性がある人と単に他人の意見に引きずられて無批判な人が入り混じって、その中から抽出された悪しき現象なのかもしれない。

 まぁ、その前に私も含めて、日本語をきちんと読める世の中にならねば。
 「路上喫煙禁止区域」と書いてあっても歩行喫煙を止めない人とかね、そういう細部が出来ている上で、権利とか自由とか大きな話が出てくると思うのだけれどね。