110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

一年有半・続一年有半(中江兆民著)

 本書は岩波文庫版で読む。

 いわずと知れた中江兆民の著書。
 最近ほとほと感じるのは、岩波文庫は場当たり的とも見えるように様々な著作を刊行している。
 その中には具にもつかないものもあるけれども、初めて、その著作を読む者や、余り、お金を掛けられない者にとってこれほどの福音はないと言えるだろう。
 だから、100円棚にならぶことが多くなった岩波文庫の古いやつに愛着(いや、購買欲)を感じるのだ。
 そして、読んで見て、当たりの本にめぐり合えた時は至福のときだよね。
 (脱線するけれども「胡麻と百合(ラスキン)」なんて本が積んであって未読だが、これ、現代の女性に対しては失礼な内容だよね多分、でも読んで見る価値はあるかもしれないよね)

 さて、本題だが、この本をブログ上げようと思ったのは、どうも現代語訳の「一年有半・続一年有半」がリリースされたことをどこかで見たからだが、ちょっと検索したが出てこなかった、幻だったのであろうか?
 
 その現代語訳に引っ掛けて、もしよければ、この岩波文庫版も読んでほしいという趣旨だったのだ。
 日本人だから、オリジナルを読むべしなんていう教訓的なことは考えていない。
 分かり易く中江兆民の考えが伝わるなら、翻訳でもよいと思うのだ。
 ただ、この岩波文庫版がお勧めなのは、校注者、井田進也氏の愛情が感じられる、本文に匹敵する注釈も合わせて読んでほしいのだ(「ケプラーの夢」の注釈を思い起こしてしまった、あれは本人のコメントだけどね)。
 さらに、巻末の本当に末にある「兆民著作振り仮名要覧」も見てほしいのだ、実は、ここは読み飛ばそうと思ったが、眺めて見ると頗る面白いのだ。
 結構読めない言葉が多いのだが、改めて、日本語はこんなに奥行きのある言葉だったことに気づいたのだ。

 まぁ、本来は内容について書くべきだろうが、それは、多くの先人が記しているだろうからら略す。

 丁度、都議選の最中だが、こんなにごちゃごちゃしている政治(家)を見たら、著者はどう思うだろうか。
 まぁ、「伊藤やなんやらの裔だな」なんて言うのだろうかな? ・・・確かに。