国民国家のリアリズム(三浦瑠麗・猪瀬直樹)
本書は角川新書2017年刊行のもの、最近、三浦瑠麗という人に興味を持ったので、珍しく、108円になるのを待たずに入手した。
同時に『「トランプ時代の」新世界秩序(潮新書)』もあったので読んで見る。
まだこの2作しか読んでいないのだが、猪瀬氏との対談のこちらのほうが面白かった。
まぁ、年齢や思想的に猪瀬氏に近いからかもしれない。
ただし、最初は「徴兵制」などという言葉に脅威を感じながら読んでいたのだが、実際は三浦氏の基本的な考え方には共感するところは多い。
ただし、三浦氏の言う「失われた時代」以降の若い人が、共通して持つと思われる「バブル」という究極の呪文が、そのバブルを生きてきた私などにとっては単なる「空虚」なものでしかないということだ。
ちなみに、その「失われた時代」も、元祖「ロストジェネレーション」のほうが深刻度がより高いと思うのだけれども、その渦中にある人々はその呪縛に拘泥し、それを思想のより所として生きているのではないかと思う。
そんなわけで、三浦氏の言っていることには共感するけれども、本書のあとがきにあるような「将来の希望」なる言葉は今も昔も究極的には無いと思うのだ。
それは「ニヒリズム」だと言われそうだが、もっと単純に「今。ここ」で、生きていることだけでで十分ではないのだろうか?ということだ。
まぁ、これは自分が母親の介護をしていて、考え方が「転向」したからなんだけれどもね。