110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

言ってはいけない(橘玲著)

 本書は新潮新書2016年刊行のもの。

 頭の良さ、犯罪を起こす可能性、これは遺伝による相関が高い、後天的な要素は有意に排除できる。
 冒頭にある「これは不愉快な本だ」というのは、私たちが「もしかすると努力で克服できるかもしれない」という夢を打ち砕く。

 この本のとおりならば、例えば大学無償化するよりも、高学歴者の夫婦に一人でも多くの子供を産んでもらうべく、多額の教育補助や(対象の)夫婦の意向によっては(イスラエルの)キブツの様な教育制度も創設すれば良い。
 下手に、教育費用をばらまくよりも、可能性の高い子供を意図的に育成する方が、本当の意味での少子化対策には有効だ。
 しかも、このシステムは、IQは確実に高いキャリア官僚にこそ適用されるべき制度で、悶着の起きる可能性が低そうだ。

 まぁ、(本書は)不愉快と自称されたが、人間の世の中はどのような側面で切っても、差別・格差は残るのだろうから、凡庸な者(わたし)は、偏見無く(ただ)受け入れれば良ろしかろう。

 逆に、人間が理性なるものを持って、(人間様の)理想郷を夢想して現実逃避するよりも、本書にあるように、理性以外の身体的な要素、自然から与えられた要素を無視しないことも、とても重要なことだろう。
 
 こういうことを書くと現在の日本でもセクハラということになるのだろううが、女性と男性は、構造的に大きく違うのだから、その差をお互いに補完する社会システムを構築するというのが「本当の理性」でなんだろうね。

 だから、前世紀に主流であった「専業主婦」というのも、意外と、制度としては正しかったのかもしれないね。
 ただし、家事などの「シャドーワーク」を、きちんと評価しなかったところがまずかったんだろう。
 そして、今世紀になってからは、共稼ぎが当たり前、男性も家事からなにからやらないと「平等」とは言えない世の中になった。
 でも、無理はあると思うよ。

 ちなみに、地球上に平和をもたらしたければ、女性が支配するシステムになれば、実現すると思うよ。
 生物学的に、そういうふうな仕組みになっているようだからね。

 けっこう際物の本かと思ったけれども、思った以上に普通の本だったので安心した。