110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

どうしても陥ってしまうこと

 この記事が悪いというのではない、目に付いたから例に上げた。
 限られた字数である程度のまとめなければならないということで陥ってしまうことがあるのではないだろうか?
 それは「専門家」という言葉やシステムだ。
 そう抽象的に「専門家」という言葉を使えば、問題は解決するだろう、読んで字のごとく「専門家」だからだ。
 しかし、その「専門家」も生身の人間である、当然スキルに差がある、だから、本当の専門性について言及するべきなのではなかろうか?
 昨今、専門的な組織の怠慢も指摘されている(児童相談所教育委員会、最近では検察の対応の甘さから犯人を取り逃がした事件、視点は変わるけれどもあの統計問題もそうだね)。
 その両面をバランスさせると記事が書けなくなる可能性もあるのだが、実は、その「書けない」ということが重要な問題意識ではないのだろうか?
 マスコミとして情報を提供してお金を稼ぐということが目的になって、本来必要な有用性が損なわれていないか、その辺について少し考えさせられた。

 折角だから、この8050問題(私も統計上はひきこもりだ)について、政府は「政府系機関に相談して最悪の結果になったら、その家庭の残りの一生を最低限保証します」とすればOKだと思うよ。
 相談施設のモチベーションが良きも悪しきも上がると思うよ。

 以下の記事とりあえず良く読んでみた、やはり、専門機関どうしの連携という変な隘路に陥っている。
 専門家が解決しないので、専門家同士が結び付く必要がある、とは、どういう意味なのだろうか?
 そいつは「専門家(機関)」の役割を果たしていないのではないのか?
 ならば、「廃止や是正」なのだが、それを言えない社会的何か(空気)があるわけだね。

引きこもりクライシス どう救う8050問題の孤立家庭
6/23(日) 11:29配信 神戸新聞NEXT
 川崎市で児童ら20人が男に殺傷され、東京都練馬区では長男を刺殺したとして元農林水産省事務次官が逮捕された。二つの事件に絡み、ネット上で引きこもりに関する議論が加熱している。一方、根本匠厚生労働相は「安易に結びつけるべきではない」との談話を発表した。事件をどう受け止めればいいのか。神戸市看護大学の船越明子教授(精神看護学)は、元次官一家のように高齢で孤立した家庭に着眼する。(津谷治英)
 -事件後、ネット上で引きこもりへの誹謗(ひぼう)中傷が増えました。
 「私も厚労相同様、事件と結びつけるべきではないと考えます。川崎の加害者は引きこもりと推定されますが、あれほど多くの人を傷つけるには相当な負の力が必要です。もし容疑者が自殺せず、真相を究明できていれば、必ず他の要素が出てきたはずです。安易な議論は、引きこもりに対する偏見を強めるだけです。それが当事者や家族を苦しめ、孤立を深めさせます」
 -農水省の元次官は長男の家庭内暴力で悩んでいたとされています。まさに孤立していた。
 「暴力や虐待は密室で起こります。父親は誰にも相談できず、追い詰められていたのでしょう。行政の仕組みに詳しい人ですから、相談窓口の情報を集めようと思えば簡単だったはずです。しかし、社会と遮断された状態に長く置かれていたため、正常な判断ができなくなっていたのではないかと想像できます。それが家族間のトラブルに発展した可能性はあると思います」
 「引きこもりの当事者や家族会と接していると、孤立を実感するときがあります。中でも『8050問題』に象徴されるように親が80代の超高齢で、引きこもりの子どもが50代だと深刻です。高齢者は身体能力が衰え、気持ちのうえでも消極的になりがちです。相談に行く足も重くなる。仮に専門の窓口までたどりついても、自分から問題を解決しようと積極的にならないと、適切な支援に出合うことが難しいのです」
 -確かに、二つの事件は引きこもりに加え、家族が孤立し、保護者が高齢化している点で共通しているようです。
 「高齢者の家庭は、孤立する可能性が高いんです。家庭の危機への対応が弱いといえます」
 -具体的な救済策の提案はありますか。
 「『8050問題』はマイナスにとらえられがちですが、そこにヒントが隠れています。この年代は親子ともに健康、介護、そして経済的な面でいろんな課題に直面しています。高齢の親の介護支援員が家庭訪問した際に引きこもりの息子、娘を発見することはよくあります。専門の支援機関につなぐチャンスといえます」
 「その際、専門機関同士で丁寧な引き継ぎがあれば、なお有効です。社会、行政の仕組みは縦割りになっており、この種の連携の視点がこれまで欠けていました。それが実現できれば、福祉や教育などいろんな問題の解決につながると思います。障害者の子どもがいる親も自分が死んだ後、どうなるのかと不安を抱えています。そんな人たちを支えるためにも、連携の仕組みづくりが効果的です」
 -違う分野の専門家が協力すれば支援の幅が広がります。
 「地域の力も見逃せません。神戸市の防災福祉コミュニティなど、防災の仕組みが加われば強力です。災害が発生した際、地域にどんな支援が必要かを調査する立場にあるからです。地域の住民の数、家庭の状況を把握する過程で、引きこもりや障害者、孤立した高齢者と出会う確率が高い。支援を提供する行政、団体へとつなげる可能性を秘めています」
 -地域を巻き込むことも重要なのですね。
 「二つの事件を巡る議論をみて、痛感しました。社会全体の包括的な支援こそ、今、求められていることだと。そのためには、身近な人の悩みに耳を傾けられる地域の関係づくりが欠かせません。そうなれば、安易に引きこもりを批判して、思考停止に陥ることもなくなるでしょう」
【ふなこし・あきこ】1977年神戸市東灘区生まれ。東京大大学院医学系研究科博士後期課程修了。兵庫県立大准教授を経て今春から現職。引きこもり、精神障害者の社会復帰に関する研究に尽力。
◇記者のひとこと
 事件の背景には引きこもりだけでなく、高齢化、親の孤立などの問題があり、複雑に絡み合う。困っている人に向け、兵庫県の窓口を記しておきたい。「ほっとらいん相談」(TEL078・977・7555)