110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

近代化の理論(富永健一著)

 社会学という学問の立場で「近代化」というものの「社会構造」と「社会変動」を考察した書籍。
 社会学はいままで意識した事が無かったが、古本屋で立ち読みした時に「ポストモダン」という単語が目に付いたので購入して読む。
 全30章の第29章目が「ポストモダン」についての考察なので始めから首を長くして読みすすめた。
 結論的には、近代化(Modernization)は、富永氏の定義では、〇駛楴腟銑¬閏膽腟銑3鵬搬押焚宗豊す舁?腟舛4つの組み合わさったもので、哲学(思想)としての「ポストモダン」はこの定義の一部(思想や文化面)を対象にしているので、社会学としての立場としては間違っているのではないかという指摘であった。
 なるほど、言葉の使い方と言うのは、意外に難しいものだと思った。

 それでは、本当の「ポストモダン」はやって来るのか?もう来ているのか?
 この議論は、また「面白い」要素を持っている。
 
 本書は、近代化に関して、或る程度総花的な解説に留めているところも見受けられるが、その中で、最終章が「高齢化」の問題であった。
 「近代化」が「高齢化」を生むという考え方は軽率だとも思うが、もし、そのような相関関係があるのならば(あくまで仮定)、「近代化」は或る時点でピークを越えると衰退する可能性が出てくる。
 その時に、現在の社会構造を維持して行けるのか、それとも、新しい社会構造に変わるのか、それとも、かつてあった社会構造に退化するのかは・・・なんとも言えない。
 事実、社会構造が退化した例もあるらしい。
 しかし、もっと素朴な疑問も読んでいた中で思った。
 (形而上的な考え方だが)社会構造は常に「進化(善)」してきたのか?