110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

似て非なる友について他三篇(プルタルコス著)

 これは「岩波文庫版」の表題で、本作ではプルタルコスの「倫理論集」から、表題作の他「健康のしるべ」「怒らないことについて」「爽快な気分について」と4作品が収められている。
 この手の本は「窮屈」で「面白くない」という先入観を持っていたが、意外と「読みやすく」「面白い」、そして、いわゆる「薀蓄(うんちく)」や「説教」もので、その時代の状況(紀元1年頃)を元に著されているのに、(翻訳者の努力の賜物でもあろうが)現在でも読めると言うことは新鮮でもある(先日読んだセネカもそうだと思い出す)。
 プルタルコス自身は「多作」であったので「例外」と取られるかもしれないが、この当時の著作は「寡作」であり、そのため執筆までに長い時間(経験)を掛けたため「思考(内容)が良く練られている」と思われる。その、結果として「長く読める」ものを生み出しているのではないかと思う。
 また「駄作」は淘汰されるので、その(歴史の)篩(フィルター)を通り越してきた作品を読むことができると言う恩恵にあずかっているのだと思う。

 さて、作品については、それぞれの「題目」に対して豊富な「事例」を使いながら「押し付けがましくなく「迫ってくる。そして「なるほどなぁ」と思わせる。
 結論としては、短気なわたくしには「怒らないことについて」を再読することが必要かなと思った。

 この本を読んでいて、「イリアス」「オデュッセイア」の各本を覗いてみたくなった、また「倫理論集」に影響を受けたモンテーニュを(大部なんですよね)読んでみたいと思った。

プルタルコスの作風に触れたければ「おしやべりであることについて」をここで読むことが出来ます。
 http://www.geocities.jp/hgonzaemon/moralia.html