110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

重力と恩寵(シモーヌ・ヴェイユ著)

 本書は1974年に刊行されたもの、1995年にちくま学芸文庫版で再版されたものを読んだ。

 シモーヌ・ヴェイユという女性については、ちくま学芸文庫版の「訳者あとがき」を(立ち)読んでもらえれば分かると思います。
 また、彼女の思想については「本書の編集者であるギュスターヴ・ティポンの「解題」を(立ち)読んでもらえば良いです(50ページくらいある)。

 例えば、本人の思想と、実際の生活が重なるということは、その思想が理想を追い求めれば追い求めるほど、乖離することが多いのでは無いか。
 場合によると、本人の生活と、著作が全く関係無い場合もあるのではないだろうか。
 しかし、彼女の思想と生活は、限りなく一致する方向にある。
 これは、何を意味するのだろう?

 例えば、小説(フィクション)であれば、理想的な主人公を登場させて、通常では考えられない行動をとらせることができる。
 しかし、その人物が実在したらどうだろう。
 ものすごい違和感を持つのではないだろうか?

 彼女はそういう人なのだ。

 本書を読んでいて、ふと、スピノザを思い出した。
 彼も、思索の時間を得るために、その他の事にほとんど時間を使わなかった。
 普通の人なら、とても幸せだとは思えない事だ。

 彼らは、幸せなのだろうか?
 たぶん、幸せなのだろう。
 私はそう思う。