110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

オーイどこ行くの(山本夏彦著)

 本書は、平成14年刊行の新潮文庫版で読む、この中には、同社平成六年刊行の「オーイどこ行くの」所収のコラム100編に加えて、平成八年刊行の「その時がきた」所収のコラム50編が収められている(すまわち、少しお得なのだ)

 私の読書は、故人となられてから、その著者を発見すると言うのが多い、それは、古本を主に読んでいるからかもしれない。
 そして、山本氏の著作をでみようと思ったのは藤原正彦氏の著作を読んだのがきっかけであった。
 両人に共通なのは、「日本語が大切である」という認識。

 私も、この日本語の大切さを認識していると思い込んで、雑誌などに掲載された、著者の軽妙なコラムを知っていたので、「お手並み拝見」と読み始めたら、それは大変な軽率な考であることを思い知らされた。

 本書は、こんなに読みやすいのに、自分がいかに日本語を知らないのかを、思い知ることになる。
 書き物は、なかなかその著者の真意が伝わらないという印象を持っているのだが、確かに、著者のその内側はわからずとも、なにやらその凄みが伝わってくる<文章>はあるのだ、と思ってしまった。
 (そして、とても素敵な、日本語にめぐり合えた)

 もういちど、辞書を片手に、日本語の勉強をしなければと思う。
 以前にも書いたが、もう、漱石の小説も難しくて読めないのだから。