110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

最後のひと(山本夏彦著)

 本書は平成2年文藝春秋刊行のもの、私は文春文庫版で読む。

 最近、山本夏彦にはまっている。
 今更、気づいて恥ずかしい思いだ。

 本書は、九鬼周造著「『いき』の構造」を枕にして、明治、大正、昭和の花柳界の100年の変遷を描くと言うもの。
 また、それは、「『いき』の構造」の解説本と言って良いのではないだろうかと思う。

 それは『いき』の終焉であろうし、もう一つ、滅んだものを暗示している、残念ながら、山本氏の目線に遥かに及ばない私としては、本書を読んで、その最後のもの(ひと)を探して欲しい。

 既に、私は、滅んだものの後に、棲みついている、それは何者であるのかを知るには、大変な労力がいる、それは、簡単に手に入らないために、私たちが捨て去ってしまったものだからだ。
 遅ればせながら、100年くらい前にはあったものを見つけに行こうと思う。
 何年かかるのかは、わからないが。

 ※山本氏の、「『いき』の構造」は(日本の)哲学用語で書いたからわかりにくいのだという事を、さらりと言えるのは素敵なことだと思う。
 ※そういえば、山崎正和氏の「社交する人間」も、この時期のことに少し触れていたことを思い出した。