110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

思想の死相(仲正昌樹著)

 本書は双風舎2007年刊行のもの。

 この著者は良く各種思想を読み込んでいます、本書では、題名にあるように(?)、20世紀の既に故人となった哲学者・思想家9名(1名は生存)をピックアップして、わかりやすく紹介してくれます。
 帯には「18歳から読める・・・・」とあるだけのことはあります。

 このなかには、今まで読んできた著者もありますが、なんとなく読んだだけで「判らない、難しい」で済ましていた本について、簡潔に総括してくれたような気がします。
 最初の一人が、アドルノで、次がベンヤミンという並びで「ぞくぞく」してくるひとにはお勧めかもしれません。
 (ちなみに、とりあげられた10名とは、アドルノベンヤミンアーレントデリダフーコーニーチェマルクスハイデガーラカンスローターダイク

 ただし、著者は、現代の思想(哲学)の衰退をことのほか心配しているように思うのですが、その内容(文章)を読むと、最近の思想・哲学が、ある意味形而上学的、宗教的なものと化していること、そして、良心的な見地からだと思いますが、本書は「反(アンチ)思想・反哲学のすすめ」と読むことも出来るように思います。
 まぁ、そういう、何か本書の自己矛盾的なところが、好ましくもあり、寂しくももあるのですよ。

 しかし、当初、面白おかしく書いた入門書か・・・とたかをくくっていましたが、一気に読ませていただいたことは事実です。
 1963年生まれの著者は、私と同世代なのですが、良い意味で(大衆に媚びずに)頑張って欲しいと思います。