110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

ヒトーパデーシャ(ナーラーヤナ著)

 本書は岩波文庫版。
 題名は「為になる教え」という意味だそうだが確かにためになる。
 ある国の国王が自分の子供たちの為に賢者に教育を依頼する。
 依頼された賢者はイソップ物語を彷彿とさせるように、様々な動物達が登場する物語の中に、知恵の詩を織り込みながら、生きる上で役に立つ考え方を説いていく。
 一見、国を治めるための本の様にも錯覚するが、一度読んでみると現在でも生活する上で大切な事、それがなんであるかに気づかせてくれる。
 大きく4つの主題で話は進められるが、はじめは「友を得る道」についての物語、ついで「仲違い」「戦争」「講話」と続く。
 戦争・講話など普段の生活には関係ないではないかと思うかもしれない。
 でも読んでみれば良い、まさに「為になる教え」なのだ。
 そして、必ずしも勧善懲悪ではない(一筋縄ではない)本書の展開に啓蒙されるところがあるに違いない。

 一つだけ注意点がある、本書の中では明らかに女性蔑視とみなされる文章が多々ある。
 もし、女性で読まれる方は、古いインドの慣習であるとおおらかに受け取って読んで欲しい。
 私は本書が108円だったので買って読んだ。
 しかし、読んでみるとその価格以上の価値、例えば定価を払って手に入れても惜しくない価値があると思った。

 まぁ、それほど訪問者がいない当ブログで粋がっても仕方はないことだが・・・・