110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

魔法少女まどか☆マギカ(一肇著)

本書はニトロプラス2011年刊行のもの、他社版もあるようだ。

新年にGyaoで「魔法少女まどか☆マギカ」の配信があった、以前に大ヒットしたアニメだが、当時は年齢相応に興味がなかったのだが、このところアニメを見るようになって「そういえばパチスロにも使われていたな・・・」という軽い気持ちで見始めたら、見事にハマった。

旧作の配信は、現在放映されている新作のプロモーションのためのようだが、それにしても考えさせられる作品なので、ほぼ10年遅れで様々な本をあさり始めた。

本書はノベライズされた作品でアニメとは視点が異なっているのだが、アニメの流れを阻害しない様に考慮されたもので、アニメを見ただけではわからなかった部分(何回も見れば分かるのかもしれないが)が文字で表現されている分、理解しやすかった。

本書を読んでいて、ふと、この本はどういう年代を意識して書いているのだろうかと思った、文体は、小学校高学年から、中学校1,2年というところなのだが、話の内容は、表面の童話風の装丁を剥いでしまえば、大人向きともいえるものなのだ。

そして、上巻の田中ロミオの解説に「血と硝煙のゲン・ウロブチ・・・」とあるように、なんともイメージのそぐわない原作者(本書では監修者)なのだ。

このような、ミスマッチな想定は、本来、虚淵玄が棲んでいたサブカルチャーの世界から、彼を、一般の世界に躍進させたのだろうか。

10年近く経っている以上、既に、本アニメの評価は出尽くしているのだろうが、私としては、本作品は、類まれな奇跡だったのではないかと思うのだ、感覚も、思想も、スキルも違う人たちが寄ってたかって作りだしたものが、思いがけない相乗効果を生んでしまったという事だ。

ちなみに、本書はヤフオクで入手したのだが、同時に、「劇場版魔法少女まどか☆マギカ 新編叛逆の物語」のコミックスがあったので(実はこれもノベライズされたものと勘違いした)入手して読んだのだが、全然面白くない。

YouTubeで断片的にある画像を見たりしたのだが、この新編は、どちちらかというと、娯楽作品を作ろうという意図のもと、多額の資金を投入して、画像を見せることの主眼が置かれてしまったのだろうか。

確かに意外性のある話だが、もはや、話自体に魅力は感じられなかった。

オリジナルの「魔法少女まどか☆マギカ」は現代のイソップ物語とも言える位置づけなのではなかろうかと思った、すなわち、後世にも残したいものということだ。

しかし、イソップ物語のそれぞれの話には「新編」や「外伝」はないのだ。