110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

怖い時代になった

 こういう記事があった。
自転車と車衝突、女性死亡 反対車線の車の間から自転車が進行/草加
埼玉新聞 3/9(木) 22:28配信
 9日午前11時15分ごろ、埼玉県草加市柿木町の市道交差点で、同市柿木町、無職渡辺いとさん(80)の自転車と、八潮市緑町2丁目、女性会社員(39)の乗用車が衝突、渡辺さんが搬送先の病院で死亡が確認された。
 草加署によると、現場は信号機のない十字路交差点。直進中の乗用車と右方から進行してきた自転車が衝突した。自転車は渋滞していた反対車線の車の間から進行していたという。車の女性が110番した。同署が事故原因を調べている。
 問題はやはりコメントだ。
 ただし、良いと思うコメントもあった。
「飛び出した自転車が悪いというのは【過失】の問題。これを真っ先に言い出したら、車の運転は「そこ退けそこ退けお馬が通る」になってしまう。
車の免許を取得するときに、更新するときに、“車の間からの飛び出しに注意した運転をしましょう”と教わらなかったか?
運転免許を持つということは、車を安全に運転できる技術や意識があるという証し。
老若男女を問わず、安易に車を運転する奴が多すぎる。」
 しかし、このようなコメントもある。
 「これが、事実なら100%自転車が悪く自動車は防ぎようがないね。でも自転車の方は亡くなったので、何とも言えない。」
 これでもましな方かもしれない。
 問題点は「100%」という表現だ。
 このコメントをつけた人は他の情報源を持っていたのかもしれないが、私はこの記事からは100%という結論は導き出せない。
 まず、交差点に進入したときの速度はどうだったのか?衝突して死亡するほどの衝撃は時速何Kmなのか、そして市道の速度規定は何Kmなのか不明だ。例えば30Kmほどにも関わらず打ち所が悪くて亡くなったのか、スピードを超過していて死亡していたのかはこの記事では伺えない。
 その他、事故に関する条件は余り見えてこないにも関わらず、自転車が100%悪いというコメントが多数見受けられた。
 飛び出したから避けられない、だから自転車が悪いという判断は稚拙だ。
 それは、冒頭に引用したコメントが良く表現している。
 また、交通弱者、交通強者の見地からも、自動車に乗って運転しているということ自体に、責任があることを忘れているような感じがする。
 そう「教習所で習ったよね」というコメントがあったが、習っているのだ、その基本を無視してコメントをすることはとても恥ずかしいような気がするのだ。
 恐ろしい時代になってきた。

 あ、でも、この当事者のドライバーは冷静に対処されたようなので安心した。

 補記:少しこの事件について考えたのだが、反対車線の渋滞している車の間から自転車が進行とあるが、コメントの多くはこれを「飛び出し」たとしている。
 しかし、車の間から飛び出すというよりは、自転車を押しながら横断しようとしたのではないだろうか?
 そうすると、反対車線の車からは、まず、自転車の先頭(タイヤ)が見えてきて、どうだろう、1mくらい突出してから本人の身体が見えるだろう。
 そうすると、衝突までにはかなり時間があるように思う。
 また、自転車に乗車した状態で衝突したのならば、交差点で遭遇したことになりそうだが、それならば、この当事者の運転手も車が右折してくる可能性を予測できないのだろうか?
 交差点では基本的に左方優先であり、また、車の進行方向のほうが広い道(優先)ではあっただろうが、信号機のない交差点ということからすれば、車の運転手にも注意義務はありそうだ。
 やはり、自転車側に過失の大部分を押し付けるには無理がありそうだが?