110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

マサリクとチェコの精神(石川達夫著)

 本書は成文社1995年刊行のもの。

 マサリクの名前は佐藤優の著作にあったので興味を持った、佐藤氏の本当のお薦めは「ロシアとヨーロッパ(マサリク)」であったが、その分量と値段にしり込みして、入門書として本書を選んだ。

 日本という国はある意味大変に恵まれていて、国(国家)は国民が維持していかなければならないものということを、ほとんど考えずにここまでこれた奇跡の国でもあるのだ。
 本当に大きな危機と言えば、あの世界大戦での敗北だが、本来国が四分五裂してもおかしくないところを、当時のアメリカの寛容政策で助かったのだ。
 しかし、その代償として、国民の意識が微妙におかしくなったのかもしれない。

 チェコは大国ドイツとロシアに挟まれた小国であり、いずれの国に吸収されてもおかしくない状況であった。
 しかし、未だに存続しているのは、国民の絶え間ない存続努力によるものだということだ。
 本書の表題にもあるマサリクは、民主主義という体制であればそれが最善というわけだはなく、国民一人一人の意識付けによってより良いものへとなるのだというような考えを示している。

 日本という国は、いわゆる平和ボケの数十年を過ごしてきた。
 そして、今、国として漠然と何かがおかしい様に思うのだ。
 これは、国家を維持するのがそれぞれ国民の意思であるというところ、すなわち民主主義の大本が、知らず知らず骨抜きされてしまったからなのではないだろうか?
 本書を読んでいて、そんなことを考えてしまった。