110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

破局と渦の考察(宇野邦一著)

 最近、読書が変わってきたのか?今週初めての読了。
 映画、絵画、舞踊、小説、哲学、言葉、身体などについて、様々な視点から評論していく。
 いわゆる、ある芸術家の芸術というものが、現状の形式(構造)に適合するか、或いは、新しいジャンルに飛躍するかしていくにせよ、前者はそのまま、後者も新しいモノを創造した段階で、形式(構造)化してしまう、そうすると、その領域に安住することは、それの中に、その形式を崩すものが生まれてきてしまう可能性を含んでいる。
 他人に思想(画)を伝える的確な方法が無い以上、画像や、色、線、文字、言葉、形の制約の枠を飛び越えていく事が必要になってくる。
 それが、逆説的に、その形式に縛られるが故に「特殊な作品」が生み出される。
 不自由だから、自由が表現できるのだろうか?
 多分そうなのだろう。

 本作で、いろいろな考え方、視点がある事をあらためて感じた。
 また、その表現についての裏表についても。

 本作の中では、多数の著作が紹介されている。
 この中では「市村弘正」という作者に興味を持った。
 自分が、現在のところ、「ペシミスト」であることの証拠なのだろう。