テスト氏・未完の物語(ヴァレリー著)
テスト氏という、ある(特殊な)人物に関する著作数題を集めた「テスト氏」と、いくつかの著作のための題材を集めた「未完の著作」の2編を集めたもの、現代思潮社の古典文庫版を読む。
結論から言うと、楽しく読書ができた。
結論から言うと、楽しく読書ができた。
このテスト氏という人物は、私見ながら、禅の師匠、すなわち覚者という感じをを受けた。
わたしは、自分が知っているもの-自分が出来るものを、軽蔑する。
わたしに出来るものは、わたしの肉体と同様の弱さ乃至は力をそなえている。わたしの「魂」とは、わたしがもはやなにも見えなくなり、もはや何もできなくなりー精神が道をとざしてまえに進まなくなるまさしくその地点において、働き始めるのだ。ーそれは、このうえなく深い深みから立戻って来て、測鉛の目盛りが示すもの、やなに入って来たものを、憐憫の眼で眺めるのだ。そのやなのなかに彼が見出すのは、何ということもない淵にとらえられた、あわれな獲物たちなのである・・・。・・・・
わたしに出来るものは、わたしの肉体と同様の弱さ乃至は力をそなえている。わたしの「魂」とは、わたしがもはやなにも見えなくなり、もはや何もできなくなりー精神が道をとざしてまえに進まなくなるまさしくその地点において、働き始めるのだ。ーそれは、このうえなく深い深みから立戻って来て、測鉛の目盛りが示すもの、やなに入って来たものを、憐憫の眼で眺めるのだ。そのやなのなかに彼が見出すのは、何ということもない淵にとらえられた、あわれな獲物たちなのである・・・。・・・・
世の中には面白い本がまだまだあるようだ。