110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

生類をめぐる政治(塚本学著)

 本書は1983年平凡社刊行のもの、私は、1993年版の平凡社ライブラリーで読んだ。

 「生類憐み令」は変わった制度という印象が強い。
 しかし、本書を読むと、必ずしもその倫理的、道徳的な視点の制度というわけではなく、その中に潜む意味があるようだ。
 それらは、鉄砲との関係、鷹狩との関係、犬、馬、牛との関係、捨子との関係などであり、これに関する幾つかの論文を集めて評論している。
 この中で、徳川幕府という統治制度と、諸大名や民衆などとの、力関係が浮かび上がる。
 そういう観点から見ると、本書の題名に現れるようにように、「生類憐み令」と政治というキーワードが出てくるのだろう。

 私にとっては、その特異性で記憶に残ってしまった「生類憐み令」について、その内実を(少し)考えさせられた著作である。