110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

風船爆弾(鈴木俊平著)

 本書は1980年新潮社刊行のもの、私は1984年初版の新潮文庫版を読む。

 第二次世界大戦で「風船爆弾」が使われて事はご存知の方も多いだろう、アメリカの原子爆弾に対して、風船爆弾は「竹やり攻撃」のような下等なもの、非理性的なものの様にも思える。
 しかし、本書を読むと、そうでもなかったことがわかる。
 
 話は脱線するが、私は、自分で打つことはしないが将棋が好きで、日曜日の午前中はNHKの早指し選手権を良く見る。
 将棋は最終的に王を詰めれば勝てる、もっと極端に言えば、相手が「まいった」をすれば勝てる。
 そこには、物量の差は無いのだ、たった2,3枚が自分の駒であっても、相手の王を詰めていれば良いのだ。
 本書を読むと、風船爆弾はそのような、アメリカののど元に刃を突きつけるものであったのだ(将棋では「必至」という)。
 そして、自然の力をこれだけ利用した兵器も、近代戦では前代未聞のものであったろう。

 さて、本書では、もうひとつのことに気づいた、それは、本書の内容が、製造業で新製品を立ち上げる過程そのままであること。
 そして、その努力が、1万キロはなれた場所に、(結果的に)その品物を納品する事になったわけだ。
 ただし、歩留まりは相当悪かったのだが・・・・

 本書を読むと、深読みかもしれないが、(今となっては嘗てか?)日本の製造業の強さを見た気がする。