奇妙な敗北(マルク・ブロック著)
本書は1970年東京大学出版会刊行のもの。
本書では、最終的に連合軍にドイツは敗れるものの、その前に、祖国フランスが敗れたのは何故かということに対する考察でもある。
それは、ドイツの軍事力が、フランスのそれを上回っていたことであると総括してしまえば、それまでなのだが、そこには、フランス側の陥穽、いや驕りが無かったのだろうかという視点も含まれているようだ。
そして、占領下にあって、再びフランスが再興されるばらば、現在の欠点を補って欲しいとの願いがこめられているのだ。
それは、ドイツの軍事力が、フランスのそれを上回っていたことであると総括してしまえば、それまでなのだが、そこには、フランス側の陥穽、いや驕りが無かったのだろうかという視点も含まれているようだ。
そして、占領下にあって、再びフランスが再興されるばらば、現在の欠点を補って欲しいとの願いがこめられているのだ。
祖国再建はわれわれ年配の人の仕事ではない。・・・・新しくめぐり来った春のフランスは、青年のものでなくてはならないであろう。前大戦の先輩に対して、青年は安逸に逃避しなかったのを悲しい特権とするだろう。最後の成功がいかなるものであろうと、1940年の大災禍の影は消え去ろうとしない。このように憤激のうちにはたらかなければならないのはよいことだろうか。私は青年のために再建のプログラムを書いてやろうなどという自負心はない。かれらは法則を頭脳と心情の内奥から引き出すだろうし、その輪郭を諸事情の教訓に適応させるだろう。われわれはただ、群集に教育もあたえず、心情の一致を見ることも無く、怨恨と傲慢によって支配する、暖かみのない制度を避けてもらうことだけお願いしたい。・・・・
引用したのは本書の最後の部分である、何か現在にも通じるものがあると思うのだが・・・如何か?